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第23回 一般の部 最優秀賞受賞者寄稿を読む

更新日:2023年2月24日

第23回「白鳥省吾賞」を受賞して
為平 澪(第23回 一般の部 最優秀賞 受賞者)

栗原市図書館(白鳥省吾記念館)から賞状と副賞を頂き、中でも栗原市特産物とお米二十キロには目を見張る。大根の佃煮を母にお裾分けしたり、精米所まで自転車の前と後ろの籠に積んで坂を上ったり下ったり。

羽釜で米を研いで頂戴した漬物や佃煮を小鉢に入れて卓上に並べる。栗原市に住んでいた白鳥省吾もそんな地元の農作物や特産物を作る人や食べる人を見てきたのだな、と田畑を自転車で横切る度に浮かんでくる。

昔、実家でおじいちゃんが一輪車で、お父さんは軽トラに乗せ、お米を精米所に運んだ。白米になった米を二世帯造りの玄関の敷居に躓いて、落とさないよう気を付けながら、板の間へと運び込む。それが十代の私の役目だった。三つ折りに袋の口を折り曲げて端の紐を捻じって括る。その袋を肩まで持ち上げ奥の台所へ。見守っていた家族は、母一人になってしまったけれど・・・。

昔の家族を思い描きながら米を研ぐ。腰が曲がったままの祖母、田植えで蛭に噛まれて血だらけになった脚、金色の重い凹んだ薬缶が二つ。置き薬に頼って間に合わなかった病院・・・。黙々と生活できる喜びと、うつむくことしかできない事柄。それはおそらく共同体として多くの人が抱えている記憶ではないか・・・。白鳥省吾の詩は自然賛歌を唱えているにもかかわらず土地で生きる人々の暮らしや苦悩、佇まいをも峻厳な眼差しと慈しみをもってしたためている。

コロナ禍によるリアル対面の難しさも手伝い、抑揚のない言葉だけが人を判断し分断していく中、白鳥省吾賞の「人間愛」・「自然」というテーマは、これから詩を書く人々にとって重要になってくるだろう。
私たちは試されている。詩を書くものとして。人間として。何に寄り添い、何を大切に孤独を越えていくのか、詩人、白鳥省吾に問われている、そんな気さえしてならない。

注:音声読み上げソフトの使用に配慮して一部表記を変更しています。

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住所:宮城県栗原市築館薬師三丁目3番1号
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ファクス番号:0228-21-1404

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