一般の部【審査員奨励賞】宇宙の密度は減少中/菱沼 大生
更新日:2023年2月10日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
そうやって
宇宙の密度は小さくなっていき
天の川が一つ一つの星に分裂したとき
僕たちの距離は何光年になっているのだろうか
海という生命の根源から疎外された僕たちのはるか昔の親戚は、陸にあがった、火を起こした、言葉を紡いだ、のだ。
インターネットという僕たちのナワバリは、世界中を繋ぐ、言語を結ぶ、僕たちの距離は縮まる、はずだった。
画面上の僕たちは
近くて遠い
その言葉に
温度はない
縮まったと思い込んでいた
僕たちの距離は
本当は何光年あるのか
最低密度の陸にポツリと居る僕たちのはるか先の親戚は、無重力の海に還る、紡がれた言葉は果て無く漂う、のだろうか。
北極星が北を指し示しているうちに
僕の言葉に重力が働くうちに
僕たちの間の距離がたかが知れてるうちに
言葉をつなぎとめておこう
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
宇宙の密度は減少中/菱沼 大生
宇宙は膨張し続けてるんだって、地学の授業で言ってた。きっと毎日、北極星は僕たちから遠ざかっていて。きっといつか、僕たちから見つからない場所へ行くのだろう。そして、小さくなっていった光の粒は、月みたいに来月になったからといって、大きくなることはない。そうやって
宇宙の密度は小さくなっていき
天の川が一つ一つの星に分裂したとき
僕たちの距離は何光年になっているのだろうか
海という生命の根源から疎外された僕たちのはるか昔の親戚は、陸にあがった、火を起こした、言葉を紡いだ、のだ。
インターネットという僕たちのナワバリは、世界中を繋ぐ、言語を結ぶ、僕たちの距離は縮まる、はずだった。
画面上の僕たちは
近くて遠い
その言葉に
温度はない
縮まったと思い込んでいた
僕たちの距離は
本当は何光年あるのか
最低密度の陸にポツリと居る僕たちのはるか先の親戚は、無重力の海に還る、紡がれた言葉は果て無く漂う、のだろうか。
北極星が北を指し示しているうちに
僕の言葉に重力が働くうちに
僕たちの間の距離がたかが知れてるうちに
言葉をつなぎとめておこう