小・中学生の部【最優秀賞】ため息/菅原 瞳美
更新日:2023年2月10日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
ため息/菅原 瞳美
はあ。口から厭世的な吐息をもらす。
朝の耳障りな時計を黙らせて
寝惚け眼をこすりながら、
少し皺のついた制服に腕を通す。
また今日がやってきた。
はあ。口から厭世的な吐息をもらす。
朝から騒騒しい校舎の中。
まだ授業が始まってないっていうのにさ。
疎ましく思いながら、
眠気の取れない目をとじて机にふせる。
はあ。口から厭世的な吐息をもらす。
教壇に立つ教師とやかましい生徒。
淡々と話しているが脱線する教師。
さらにうるさくなる教室。
馬鹿らしくなり、
きれいな秋晴れの空に目を移した。
はあ。口から厭世的な吐息をもらす。
放課後、活発になる生徒たち。
どうしてそんなに元気なんだい。
これから体力が消耗するっていうのにさ。
つかれたころには、
すっかり日が傾いていた。
はあ。口から厭世的な吐息をもらす。
帰路につくと紅の夕空が広がっていた。
紅の夕空に染まっていく田舎道。
紅の夕空に染まっていく稲穂。
紅の夕空に染まっていく私の心。
なんだか目頭が熱くなった。
はあ。口から楽天的な吐息がもれた。
また今日が去っていく。