小・中学生の部【最優秀賞】てんしのセミ/菅原 琉太
更新日:2019年2月4日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略てんしのセミ
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
てんしのセミ
ことしのなつ
ぼくは すごいものを みた
ようちゅうのセミが
おとなのセミになっていく しゅんかんを
ぼくは はじめて みた
セミのぬけがらは たくさんみてきたけど
うごいている ようちゅうは はじめて
ぼくは しばらく かんさつした
ようちゅうは 木のえだを
ゆっくりと ゆっくりと のぼり
あるところで とまった
すると
せなかが すこしずつ やぶれ
中から きみどりいろのからだが
すこしずつ でてきた
くるしそうに みえたけど
ぼくは「がんばれ」と おうえんしながら
ずっとみていた
しばらくして
セミは ぬけがらから
ぜんぶのからだを だした
まるまった はねが すこしずつひらいて
ぼくが いつもみているセミになってきた
でも からだのいろが ちがう
ぼくが みてきたいろとは ちがう
エメラルドグリーンで
ぼくは「うわあ」とこえをだしてしまった
まるで そのすがたは
てんしのセミのようだった
あさはやおきして
セミがいたところに いってみた
しかし
あの てんしのセミのすがたは
どこにもなく
ぬけがらだけが のこっていた
また あいたいな
てんしのセミ
がんばって いきるんだよ