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トップページ > くらしの情報 > 子育て・教育・スポーツ > 白鳥省吾記念館 > 「自然」の詩、「人間愛」の詩。白鳥省吾賞 > 第20回白鳥省吾賞の結果 > 第19回一般の部最優秀賞受賞者寄稿を読む

第19回一般の部最優秀賞受賞者寄稿を読む

更新日:2019年3月4日

白鳥省吾記念館を訪ねて/高橋   英司(第19回一般の部最優秀賞受賞者)

    昨年、第十九回白鳥省吾賞に選ばれ、その折、表彰式前の時間に、白鳥省吾記念館を訪ねました。市立図書館に併設しているとはいえ、個人を顕彰するには十分に立派な建物で、展示室も三室あり、過不足なく整備されていると思いました。地元の人たちの、郷土の詩人を愛する熱意を感じました。
   つい近年まで、私は、白鳥省吾なる詩人の名前を知りませんでした。四十年以上も現代詩に関わっていながら、書くことのみに専念して、先達詩人の仕事に関心を払ってきませんでした。全国各地に、詩人の名を冠する詩の賞がありますが、普通はその機会になって、この詩人はどんな詩を書いたのかと、改めて注意を向けるのだろうと思います。
   
白鳥省吾は、主として、大正から昭和前期に活躍しました。大正期と言えば、萩原朔太郎を思い浮かべますが、彼らとは別に、もう一つの詩の流れがありました。白鳥省吾は民衆詩派の代表的詩人と言われます。小作農の悲しみをうたった「耕地を失ふ日」や、靖国神社の遊就館(神社併設の戦争記念館)をうたった「殺戮の殿堂」が、白鳥省吾の代表的な詩とされています。民衆の心を、農民詩、反戦詩の形で書き、後のプロレタリア詩につながる社会性のある作風でした。アメリカ民主主義の詩人ホイットマンに共鳴し、その研究者でした。
   詩の世界を見渡して、民衆詩派の詩業は軽視されていると思います。いつの時代も芸術至上主義の詩があり、一方に、生活に根差した庶民の詩があります。そして、芸術詩が上位に置かれます。モチーフや技法で境界が設けられます。わけのわからない、つまらない詩でも芸術派が幅を利かせています。庶民感情を表現する生活詩は、直叙的でわかり易いだけで軽く見られています。これは時代の偏見であると思います。自分の目で読み、感じ、心動かされた詩が良い詩だと思います。栗原市民の地元贔屓を割り引いても、「耕地を失ふ日」や「殺戮の殿堂」は良質な詩だと思いました。

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