小・中学生の部【優秀賞】夜中の訪問客／内山 芽泉

受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注：敬称略

夜中の訪問客／内山   芽泉

君は突然やってきた
君は変わり者らしい
木を選ばず
我が家の雨戸なのだから
そう言われても仕方ないさ
君には庭の木が見えないのかい？
（危うく潰ぶすところだったよ）
なぜ虫嫌いの私の部屋に来るのさ
しかも夜中に
小さな物音響かせて
ゆっくりゆっくり移動してゆく
細い爪が当たるような音が
私を逆撫でする
テスト勉強どころではない
君は私の気持ちなど無視して
脱皮を始めてしまった
背中がうごめいている
エーリアンみたいだ
私の背中もゾクゾクする
テスト勉強どころではない
背中から綺麗な羽根をしたためて
君は現れた
君の羽根はまだ柔らかで頼りないね

翌朝早起きした
君に会うためではないよ
テスト勉強の挽回をするためさ
君のせいで雨戸を閉めれず
朝日が眩しくて起きたのさ
言い訳しながら君に近づく
君は待ってましたと言わんばかり
朝日と一緒に飛び立った
残ったのは君の抜け殻だけ
昨夜の勉強の挽回は出来たから
心配しないで飛びまわれ
ミーンミン仲間とうるさいが
我慢してやるから庭の木止まって
声のシャワーを浴びさせろ