小・中学生の部【審査員奨励賞】ガラス越しのメッセージ/千葉 瑠奈
更新日:2022年1月31日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
疲れてくたくたになって帰ってくる
そんなのあたりまえなのに
どうしても嫌気がさしてしまうんだ
宿題にも取りかからないで
ごろごろと夜をすごしていたとき
ふと、カーテンを開けたままの窓をみた
とても綺麗な緑色をまとった
一匹のかえるが張り付いていた
少しずつ体勢を変えて
ぺたぺたと動いていた
そしてときどきガラスから落ちて
幅1センチ程しかない窓枠に着地しては
またぺたぺたとガラスを登っていた
虫嫌いのはずなのに
不思議とその姿から目が離せなかった
その日はなんとなく
カーテンを開けたまま寝ることにした
次の日、朝になって起きると
昨夜のかえるはもういなかった
あのかえるは必死に生きているんだ
なのに私は甘えていた
私よりかえるのほうがずっとすごい
今ごろあのかえるはきっと
他の誰かの家の窓を探しているんだ
私は布団から抜け出し
ペンをとって宿題に取りかかった
あのかえるが伝えてくれた
ガラス越しの頑張れってメッセージを胸に
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
ガラス越しのメッセージ/千葉 瑠奈
毎朝早起きして学校に行って疲れてくたくたになって帰ってくる
そんなのあたりまえなのに
どうしても嫌気がさしてしまうんだ
宿題にも取りかからないで
ごろごろと夜をすごしていたとき
ふと、カーテンを開けたままの窓をみた
とても綺麗な緑色をまとった
一匹のかえるが張り付いていた
少しずつ体勢を変えて
ぺたぺたと動いていた
そしてときどきガラスから落ちて
幅1センチ程しかない窓枠に着地しては
またぺたぺたとガラスを登っていた
虫嫌いのはずなのに
不思議とその姿から目が離せなかった
その日はなんとなく
カーテンを開けたまま寝ることにした
次の日、朝になって起きると
昨夜のかえるはもういなかった
あのかえるは必死に生きているんだ
なのに私は甘えていた
私よりかえるのほうがずっとすごい
今ごろあのかえるはきっと
他の誰かの家の窓を探しているんだ
私は布団から抜け出し
ペンをとって宿題に取りかかった
あのかえるが伝えてくれた
ガラス越しの頑張れってメッセージを胸に