小・中学生の部【特別賞】錯覚の景色/AKAMAMUSI
更新日:2022年1月31日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
錯覚の景色/AKAMAMUSI
自転車をこぐ足が今日はなんだか軽い
目的地は決めていない
友達とどこまでも行く
友達はトレーニングだと言ってどんどんこいで行く
学校や教室で話さない事を話しながらペダルをこいだ
一人では味わえない解放感を僕は楽しんでいた
通った事がない道を進む
新鮮な感覚にワクワクした
いつもそこにある景色なのに、まるで知らない町へ来たような錯覚を感じる
なぜなのか不思議だった
きっと見えていなかった景色がよく見えたからかもしれない
僕達が通った道は稲が色付き始め、コスモスが色鮮やかに揺れていた
どこにでもある景色なのに友達と通ったこの道や風景を僕は忘れたくないと思った
夕暮れまで僕達はペダルをこぎ続けた
疲れているのに気分が良い
「また行こう」と約束を交わし帰路へついた
うす暗くなる景色に僕はなんだか不安になって、こぐ足に力が入った