小・中学生の部【優秀賞】全てはつながっている/菅原 詩
更新日:2022年1月31日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
全てはつながっている/菅原 詩
「死」
それは生の始まり
自然界では「化学反応の前後で物質の総質量は変化しない」という
人は死んだらどうなるの
「土に帰るのさ」
人は死んだらどうなるの
「星になるのさ」
一千度の熱は、あらゆる部位で様々な化学反応を起こす
一部は灰となり、一部は水となって空へ舞い上がる
さっきまで確かにそこにあった体は、姿を変え、新たな生き場所を探す旅へ出る
あるものは土に帰り、草木の中に取り込まれ
またあるものは遠く宇宙空間まで飛び出し、星の一部を形成する
これを新たな命の誕生と言うならば、死は生の始まりなのか
人は死んだらどうなるの
「土に帰るのさ」
人は死んだらどうなるの
「星になるのさ」
姿を変えながら自然の法則に従う私たちは、
永遠に消えることのない物質の塊
様々な形で地球のあらゆるものや宇宙とつながっている
そう思ったとたん、通学路の落葉や小石までもが愛おしく見えてくる
「あなたは誰の一部だったんだい」
庭には一生を終えたアブラゼミ 彼もまた星になる準備ができたようだ