小・中学生の部【特別賞】ただ鮮やかに/菅原 響
更新日:2020年1月30日
受賞作品を、原文のまま掲載します。
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
誰も名を呼んではくれなかった
私がブカッコウな雑草だからだろうか
そんなことを思っているとき
そよ風は優しく包むように吹いてくれ
そっとそっとゆらされゆらされ
そうなれば心のバケツもゆらされゆらされ
沈んだ鮮やかな色たちがまた
水いっぱいに広がり満ちる
そうして私は雑草であることを忘れ
ただ鮮やかにここにいる
でもやはり私の名を
誰か呼んではくれないだろうか
今日も私はここにいる
早朝の冷たい風にゆらされゆらされ
美しい陽の光を浴び
自然界の息吹きを全身に感じて
こんなに広い場所に一本
寂しい気持ちとここにいる
みんな私の名を知らないのだろうか
誰かは知っているのだろうか
知っているその誰かは
呼んでくれるのだろうか
そんなことをふと思う
知っているなら呼んでほしい
こんな願いムダだってわかっている
でもやはり私の名を
誰か呼んではくれないだろうか
なぜだか今日は風に温もりを感じる
そう思っていると少年が来た
風は一瞬強く吹き
少年は私を見て オオバコさん おはよう
その言の葉たちを残し駆け出す
オオバコというのか私の名…呼んでくれた
私の泪は昨日降った雨の粒
ただ鮮やかに私は泣いた
編集の都合上、すべて横書きにしています。
注:敬称略
ただ鮮やかに/菅原 響
名はある筈なのに誰も名を呼んではくれなかった
私がブカッコウな雑草だからだろうか
そんなことを思っているとき
そよ風は優しく包むように吹いてくれ
そっとそっとゆらされゆらされ
そうなれば心のバケツもゆらされゆらされ
沈んだ鮮やかな色たちがまた
水いっぱいに広がり満ちる
そうして私は雑草であることを忘れ
ただ鮮やかにここにいる
でもやはり私の名を
誰か呼んではくれないだろうか
今日も私はここにいる
早朝の冷たい風にゆらされゆらされ
美しい陽の光を浴び
自然界の息吹きを全身に感じて
こんなに広い場所に一本
寂しい気持ちとここにいる
みんな私の名を知らないのだろうか
誰かは知っているのだろうか
知っているその誰かは
呼んでくれるのだろうか
そんなことをふと思う
知っているなら呼んでほしい
こんな願いムダだってわかっている
でもやはり私の名を
誰か呼んではくれないだろうか
なぜだか今日は風に温もりを感じる
そう思っていると少年が来た
風は一瞬強く吹き
少年は私を見て オオバコさん おはよう
その言の葉たちを残し駆け出す
オオバコというのか私の名…呼んでくれた
私の泪は昨日降った雨の粒
ただ鮮やかに私は泣いた