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特集
扉の先に見えたもの
~栗原市工芸展の魅力に迫る~

 扉を開けると、能面が目に飛び込んできた。よく見渡すと、鮮やかな青色の陶器や、レザークラフトと呼ばれる革製品などの工芸品も並んでいる。
 ここは、栗原市工芸展の会場。毎年多くの人たちが会場を訪れる人気の展示会となっている。
 人々を引き付けるその魅力とは一体何なのか。今月は栗原市工芸展の魅力を紹介する。



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【特集】扉の先に見えたもの~栗原市工芸展の魅力に迫る~

うまくなりたい
その一心で作品と向き合う

 毎年8月に開催する栗原市工芸展は、今年で27回目を数えます。能面や陶芸品をはじめ、レザークラフト、パンフラワー、仏像など、100点ほどの作品が会場に展示されます。
 2年前から栗原市工芸展に出展している、レザークラフト作家の坂田さんに作品作りの様子を伺いました。

レザークラフト作家
坂田 一正(さかた かずまさ)さん(築館宮野下町)

作品作りに終わりなし
 とにかく、うまくなりたいその一心でこれまで作品作りをしてきました。
 例えば、街に出かけたとき、今はどんな形や色のレザークラフトが人気なのか、人が持っているかばんや小物をついつい目で追ってしまいます。また、革の小物などを販売するお店に入ったときには、商品の構造や作り方に見入ってしまい、購入後に自宅で分解して、作品作りの参考にすることも、しばしばです。それでも、一足飛びにうまくはなりません。そのため、一つ作って、一つ反省を繰り返す日々です。
 その他、私が魅了される理由として、革製品自体の魅力もあげられます。使い続けることで革がなじみ、つやなど独特の風合いが出るところは、素晴らしい特徴です。さらに、メンテナンスをすれば、長期間使用できることも魅力の一つです。もし、大切にしまっている革製品があれば、ぜひ日々使用し、風合いの変化を楽しんでほしいです。

作り手から見た工芸展
 普段は、どうしたらお客さんが喜ぶか、イメージを膨らませ作品作りをしています。そのため、私にとって工芸展の魅力は、何といっても直接来場者と交流できるところです。工芸展当日は、来場者から、製作方法を聞かれることもあり、逆に私がどのような製品があると良いか、尋ねることもあります。
 このように来場する人と交流しながら、直接その反応を聞けるこの工芸展を、これからも大切にしていきたいです。そして、今年の工芸展に多くの人に来場いただき、ぜひ作り手たちの思いが込もった作品を間近で見てほしいです。


写真
①一つ一つ手づくりするレザークラフトに、同じものは一つもない。
②革の端材も保存し、作品のアクセントとして再利用する。
③④スマートフォンケースやカードケース、キーホルダーなど幅広く革小物を製作している。