4ページ  長年、西洋カボチャの栽培を行っている佐々木さんに、話を伺いました。 佐々木 四郎(ささき しろう)さん(瀬峰野沢) 多くの支えがあってこそ  私は、40年以上前からカボチャを栽培してきました。元々は米農家で、カボチャの栽培方法をほとんど知らなかったため、他県へ視察に行き、真剣に勉強しました。  栽培を始めた頃は、思うように収量を上げることができず、苦労しました。また、農業は天候に左右されるため、大雨や猛暑の影響で苗が育たないこともありました。  それでも続けてこられたのは、おいしいカボチャを消費者の皆さんに届けたいという思いを持ち続けてきたこと、農業関係機関の皆さんや、農家仲間の支え、そして、そのカボチャを味わってくれる人たちがいたからです。  以前、孫が通う小学校にカボチャを贈ったことがあります。冬至カボチャとして給食で提供され、うれしそうに食べている子どもたちの写真がお礼として送られてきました。その笑顔は、私の心の支えとなり、今も大切な思い出として残っています。 おいしいカボチャを届けるために  現在、2ヘクタールの作付けを行っています。色や形、味の良いカボチャを作るためには、病害虫防除や過度な日照への対策などが欠かせません。  皮まで食べるカボチャは、表面の色味がとても大切です。カボチャは日光に当たりすぎると、表面が白色や黄色に変色する、白化(はっか)・黄化(おうか)が起こってしまいます。このような状態にならないよう、カボチャ一個一個に日よけテープを貼ったり、地面に接する部分にマットを敷いて腐敗を防止したりしています。 新たな挑戦  これからも、カボチャならではの糖度や、食べたときのほくほくとした食感に影響する粉質感を追求し、高品質なカボチャを作っていきたいです。また、濃厚な甘味とほくほくとした食感を持つ、赤カボチャの栽培にも挑戦していきたいです。  私だけではなく、市内の農家は高齢化や後継者不足で大変な思いをしていると思います。体力が続く限り栽培を続けていきたいと考えてはいますが、限界もあります。  栗原で大切に育てたカボチャをこれからも皆さんに届けるため、栽培に携わる仲間を増やし、培ってきた栽培技術を継承していきたいです。思いが実を結ぶまで頑張ります。 カボチャの豆知識を紹介! ①収穫後、しばらく置くと甘味が増す!  カボチャは、収穫後すぐに食べると渋味があり、それほど甘味はありません。  収穫後、2週間~1カ月間ほど風通しの良い日陰に置いて追熟させると、デンプンが糖に変わって甘味が出てきます。 ②重さやヘタに注目!  カボチャを選ぶときは、ずっしりと重みがあり、ヘタがコルクのように乾燥しているものがおすすめです。  ヘタが完全に乾燥していない場合は、追熟してみましょう。 ③冷凍保存もできる!  カボチャは冷凍保存ができます。  使いやすい大きさにカットし、食品保存用袋などに入れて、冷凍庫で保存しましょう。 写真 ▲収穫後、追熟している様子 ▲収穫直後のヘタ ▲追熟後のヘタ 5ページ 【特集】カボチャで元気!  瀬峰地区で幅広い世代に愛されているお菓子「カボチャまんじゅう」作りを行う、菅原さんに話を伺いました。 菅原 博美(すがわら ひろみ)さん(瀬峰下藤沢) 地域の味を伝える  カボチャまんじゅうが作られるようになった由来は、さまざまあるようです。  聞いた話では、瀬峰地区名産のカボチャを使った名物を生み出せないかと考えた農家の女性たちが知恵を出し合い、カボチャまんじゅうが誕生したそうです。あんこが入っているものと入っていないものがありますが、どちらも生地にカボチャを練り込み、蒸かして作る手順は共通しています。  長年カボチャまんじゅう作りを行ってきた先輩からレシピを受け継ぎ、13年前からカボチャまんじゅうを作り始めました。  地域に伝わる味を次世代へ伝えるため、小・中学校の子どもたちでも作りやすいようにアレンジしたレシピで、調理実習をしたこともあります。みんな楽しそうに活動していて、私もうれしくなりました。  子どもたちが大人になったときにこの味を懐かしみ、ふるさとを感じてくれたらと思うと同時に、より多くの人に味わってもらえるよう作り続けていきたいと思っています。  カボチャまんじゅうを皆さんに味わってもらうため、家庭でも作りやすいように、ホットケーキミックスを使ったアレンジレシピを考案しました。ぜひ、作ってみてください。 アレンジ版 カボチャまんじゅうの作り方 材料 ・カボチャ 200グラム ・卵 2個 ・砂糖 50グラム ・ホットケーキミックス 200グラム ・酢 大さじ1 ・塩 ひとつまみ ・溶かしバター 30グラム ・あんこ、黒ごま 適量 作り方 ①カボチャは種とワタを取り、皿にのせふんわりとラップをし、600ワットの電子レンジでやわらかくなるまで15分加熱する。  粗熱が取れたら、スプーンなどを使って、皮からカボチャの身を剥がし、ボウルに取り出しておく。  (加熱時間は、自宅の電子レンジに合わせて調整してください) ②ボウルに卵を割ってかき混ぜる。 ③②に①を入れてかき混ぜる。満遍なく混ざったら、ザルでこす。 ④③に砂糖、ホットケーキミックス、酢、塩を入れて軽く混ぜる。 ⑤④に溶かしバターを入れ、軽く混ぜる。 ⑥6号サイズのアルミカップの中央にあんこをのせ、その上にヘラなどを使って⑤をのせる。 ⑦蒸し器を火に掛け、湯気が上がったら⑥を入れ、蒸し布を被せてふたをする。中火で8分蒸す。 ⑧蒸しあがったまんじゅうにごまを散らす。 ポイント ⑤を混ぜるとき、ヘラからぽたぽたと落ちるくらいの固さにすると、ふんわり仕上がります。 心も体もほっこりと  12月は師走ともいわれ、年の瀬が近づくにつれて何かと気忙(きぜわ)しく、慌ただしく感じられる季節です。また、日に日に冷え込みが増し、一年間で溜まってしまった心身の疲れによって、不調を感じている人も少なくないかもしれません。  そんなときは、心や体をほっこりと芯から温めてくれるカボチャの出番です。ずっしりと重い実の中には、冬を乗り越えるための栄養だけでなく、おいしいカボチャを届けたいという生産者の思いがたっぷり詰まっています。その思いに触れながらカボチャを口にしたとき、今までとは一味違う温かな味わいが、私たちの中にじんわりと広がっていくのを感じられるでしょう。  一年で一番長い夜を越えれば、新年はもうすぐです。年末は、カボチャを食べながら疲れを癒してみませんか。新年が今年よりもさらに輝く一年になることを願いながら。