4ページ  市では、地域の皆さんが身近な場所でフレイル予防に主体的に取り組む「くりはら元気アップ体操」を、市内各地区で実施しています。体操の指導を行っている健康運動指導士の信田さんに、話を伺いました。 健康運動指導士 信田 淳一(のぶた じゅんいち)さん くりはら元気アップ体操とは  くりはら元気アップ体操は、椅子を使って手足を動かし、筋力アップを目指す体操です。このような運動を、レジスタンス運動といいます。  レジスタンス運動を行う上で大切なことは、正しい姿勢で行うこと、体の部位を意識して行うこと、呼吸を止めないこと、ゆっくり行うこと、無理をしないことの五つです。特に、間違った姿勢で行うと、体を痛める原因となるため、注意が必要です。  くりはら元気アップ体操は、地域の皆さんで集まって1回、自宅で1回、週に2回は行っていただきたいです。 栄養摂取と社会参加も大切に  フレイル予防は、運動だけではありません。十分な栄養摂取や、心の健康のための社会参加も大切です。  例えば、筋肉を作るためには、運動に加えてたんぱく質の摂取が不可欠です。適度な運動と、必要な栄養が組み合わされることで筋肉は作られます。体操を行う皆さんには、たんぱく質も含めた栄養バランスの良い食事を取るよう、声掛けをしています。  また、くりはら元気アップ体操は、社会参加の側面も担っています。市内どの地区も、仲間との交流を楽しみながら運動に取り組んでいる様子が見られます。 継続は力なり  レジスタンス運動は、ゲーム性のあるスポーツとは違い、地味な運動のため、続かない人もいるかと思います。しかし、一度運動をさぼってしまうと、筋肉はすぐに衰えてしまいます。  レジスタンス運動を継続してもらえるよう、くりはら元気アップ体操では、一方的に指導するのではなく、皆さんから体の悩みや疑問を聞いて、それに対応したトレーニング方法も教えています。体の気になる箇所を改善するため、皆さん真剣に取り組んでいるようです。  そして、運動の継続には、一緒に取り組む仲間の存在も大切です。ぜひ皆さんも、くりはら元気アップ体操に参加し、フレイル予防に取り組んでみてください。 くりはら元気アップ体操の一例を紹介! ①椅子に座り、肩幅まで足を開く。腕を交差させて手を肩に置く。 ②4秒かけてゆっくりと立ち上がる。膝は、内側に閉じたり、外側に開いたりせず、前を向くように心掛ける。 ③まっすぐ立ち上がったら、今度は4秒かけてゆっくりと座る。①から③を10回行う。なお、②・③の動作が難しい人は、椅子の背もたれにつかまって行う。 5ページ 【特集】フレイル予防で健康寿命を延ばそう!  金成小堤地区で行われている、くりはら元気アップ体操の代表を務める二階堂さんに、話を伺いました。 金成小堤地区 くりはら元気アップ体操 代表 二階堂 亮子(にかいどう りょうこ)さん 地域の大切な場  小堤地区では、地域住民の健康増進を目的に、行政区長の呼びかけで平成29年からくりはら元気アップ体操を始めました。コロナ禍で集まることができない時期もありましたが、現在は毎週土曜日に集会所で体操をしています。  体操の参加者からは「腕が上がるようになった」、「膝が曲がるようになった」という声が聞かれます。  くりはら元気アップ体操以外にも、食べる力を鍛える口腔体操も取り入れ、みんなでフレイル予防に取り組んでいます。  また、体操をきっかけに週1回は、みんなで顔を合わせるので、くりはら元気アップ体操は、地域の交流の場にもなっています。  運動は、一人で黙々と体を動かすよりも、みんなで和気あいあいと行う方が、楽しみながら続けられますし、体にも心にも良いと思います。 意識の変化  くりはら元気アップ体操に参加することで、地域のみんなの健康意識が変わってきていると感じています。  私自身も、栄養バランスを考えて食事を作ったり、すきま時間を使って口腔体操をしたり、ポールウォーキングをして足を鍛えたりと、健康維持のためにさまざまなことに取り組んでいます。  小堤地区では、年に一度、健康運動指導士の信田さんに指導していただき、体力測定も実施しています。結果は専用の手帳に記録しているので、身体の状態の変化を知ることができます。また、前回と比較して結果が良くなっていると、うれしくて、さらに体操やフレイル対策を頑張ろうという気持ちになれます。  これからも、運動と交流の場であるくりはら元気アップ体操の活動を継続していき、地域のみんなでいつまでも健康に過ごしていけたらと思っています。 フレイル予防活動実施団体募集 くりはら元気アップ体操  筋力をつけるため、椅子を使ってゆっくりと手足を動かす、30分程度の体操です。 百歳までごっくん体操  食べる力や飲み込む力をつけるため、椅子に座って口の周りや舌を動かす体操です。 共通事項 ●事業内容 65歳以上の人を5人以上含み、週1回・6カ月以上集まって、自主的に活動を行うことができる団体に、体操の内容を収録したDVDを配布します。   また、希望に応じて、健康運動指導士などによる体力測定や運動の指導も実施します。 ●申し込み 介護福祉課、各保健推進室、各地域包括支援センター窓口で配布している申請書に必要事項を記入の上、申し込みください。   なお、地域の介護施設と共同での取り組みも可能です。詳しくは、問い合わせください。  ※申請書は、市ウェブサイトからも取得できます。 問い合わせ先 市民生活部介護福祉課 電話22-1350 フレイルを予防していつまでも健康に  年齢を重ねるにつれ、体や心の状態は変化し、行動にも影響を与えます。加齢により疲れやすくなった、外出がおっくうになった、食事が楽しくないなどと感じている人もいるのではないでしょうか。  フレイル状態に陥るきっかけが身近にたくさんあるように、予防するきっかけもたくさんあります。  栄養バランスのよい食事を心掛ける、近所への買い物は歩いて行く、地域行事やボランティア活動に参加して交流を増やすなど、栄養、運動、社会参加の三つの側面から普段の生活を見つめ直し、改善していくことがフレイル予防になります。  また、フレイル予防の取り組みは、早いうちから取り掛かれば、その分、健康で元気に生活できる期間が長くなりますが、一人ではなかなか続きません。仲間と楽しみながら一緒に取り組むことが、長続きの秘訣(ひけつ)です。  皆さんも、家族や地域の人たちと声を掛け合い、今すぐできることからフレイル予防を始めてみませんか。