2ページ 【特集】オレンジカフェで広がる輪 高齢化が急速に進む日本では、令和7年に、65歳以上の約5人に1人が、認知症になるといわれています。 自分や家族、地域の仲間が認知症になったとき、皆さんはどうしますか。 今月は、オレンジカフェを通じて、認知症について一緒に考えてみましょう。 栗原の認知症  市の65歳以上の人口は、令和7年には、25,464人に達すると見込まれています。それに伴い、認知症高齢者数も、年々増加しています。  厚生労働省で示している認知症高齢者の日常生活自立度によると、日常生活に支障をきたすような症状などが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態の日常生活自立度Ⅱ以上が、認知症に該当します。この自立度から、令和7年には市の高齢者のうち、約18パーセントに当たる、4,605人が認知症と推計されます。 誰もが関わる病気  認知症は、高齢者や当事者だけの問題とは限りません。家族の介護に携わったり、同じ地域に暮らす仲間を手助けしたりと、誰もが認知症に関わる時代になってきています。  認知症への不安を一人で抱え込み、その間に症状が悪化するという事例もあります。当事者も介護者も、誰かに話せて聞いてもらえる場、何も話さなくてもほっと一息つける場の一つに、オレンジカフェがあります。 〔参考〕厚生労働省「認知症の本人及び家族への地域資源を活用した支援に関する調査」 ●65歳以上の高齢者人口における認知症者数(推計) 令和5年 日常生活自立度Ⅰ以下 21,344人 日常生活自立度Ⅱ 3,054人 日常生活自立度Ⅲ以上 1,545人 65歳以上に占める日常生活自立度Ⅱ以上の割合 17.7% 令和7年 日常生活自立度Ⅰ以下 20,859人 日常生活自立度Ⅱ 3,057人 日常生活自立度Ⅲ以上 1,548人 65歳以上に占める日常生活自立度Ⅱ以上の割合 18.1% 令和22年 日常生活自立度Ⅰ以下 15,718人 日常生活自立度Ⅱ 2,353人 日常生活自立度Ⅲ以上 1,192人 65歳以上に占める日常生活自立度Ⅱ以上の割合 18.4% 日常生活自立度Ⅰ以下(介護認定を受けていない、自立している、何らかの症状を有するが、日常生活はほぼ自立している) 日常生活自立度Ⅱ(日常生活に支障をきたすような症状などが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる) 日常生活自立度Ⅲ以上(日常生活に支障をきたすような症状などが見られ、介護を必要とする) ●主な介護者が不安に感じる介護 1位:認知症への対応 2位:夜間の排泄(はいせつ) 3位:日中の排泄 4位:外出の付き添い、送迎等 5位:入浴・洗身 ※要介護2以下における順位 ※栗原市高齢者福祉計画介護保険事業計画(第8期)を基に作成 3ページ 【特集】オレンジカフェで広がる輪 認知症の人も、そうでない人も集えるオレンジカフェってどんなところ? 誰が運営に関わっているの?  認知症サポーターなどのボランティアや、介護福祉の専門職、生活支援コーディネーターなど、さまざまなスタッフが関わっています。  認知症の人も、そうでない人も、暮らしやすくなるよう、共に考えたり、人や場・活動をつないだり、自分らしく暮らせることを大切に考えて、行動しています。 予約は必要なの?  基本的に予約は不要です。カフェによっては、予約が必要な場合があるので、問い合わせください。  また、参加費として100円から300円程度がかかります。 どんなことをしているの?  飲み物を飲みながら、気軽におしゃべりを楽しむことができます。  その他にも、認知症について理解を深める活動をしたり、介護に関する悩みを相談し合ったりしています。  オレンジカフェの運営を担っている築館・志波姫地域包括支援センターの、佐藤さんと後藤さんに話を伺いました。 築館・志波姫地域包括支援センター 管理者・主任介護支援専門員 佐藤 奈美(さとう なみ)さん 社会福祉士 後藤 春香(ごとう はるか)さん 家族と過ごす安心感  認知症当事者と家族が一緒に活動できるのが、オレンジカフェの魅力です。認知症当事者や家族の他にも、認知症に対して不安がある人や、認知症と思われる人も、カフェに参加できます。  福祉施設などは、当事者が他の利用者と交流することはありますが、家族と一緒に活動する機会は、それほど多くありません。オレンジカフェのように、当事者とその家族が一緒に過ごせる安心感を残しつつ、家とは違った環境で刺激が得られる場所は、とても貴重です。家に閉じこもりがちな人は、試しに一度訪れてみることをお勧めします。 支援の輪  オレンジカフェの運営には、多くの人が関わっています。場所を提供してくれる事業所の他、私たち包括支援センターや社会福祉協議会、介護福祉に関する知識を持った専門職員です。  カフェでは、分野別に職員が力を合わせ、参加者の相談などに応じ見守っています。 カフェの開催効果  カフェは、認知症の当事者や家族同士が、居心地良く過ごせる場所として提供しています。また、それぞれの思いなどを分かち合う場としての役割もあります。  当事者や家族が、交流を通じて認知症について学んだり、話をしたりすることによって、横のつながりができているように感じます。 認知症を正しく理解する  認知症は、遅かれ早かれ誰でも発症する可能性があり、決して特別ではありません。認知症を正しく理解し、住み慣れた地域で以前と変わらず、穏やかに生活するためにどうしたら良いかを、みんなで考えることが大切です。  認知症になったから何もできないではなく、認知症でもできることはたくさんあると多くの人に知ってもらい、全ての人にその人らしさを失わず、笑顔で暮らしてほしいと思っています。