4ページ  栗駒地区でつるし飾りを制作している、栗駒鶯沢商工会女性部の皆さんに、話を伺いました。 栗駒鶯沢商工会女性部 部長 岡崎 理佳(おかざき りか)さん 副部長 三浦 直子(みうら なおこ)さん つるし飾り部会長 佐藤 尚子(さとう なおこ)さん 落ち込んだ地域を元気に  私たちは、岩手・宮城内陸地震の後、大きな被害を受けた栗駒地区を元気づけたい気持ちで、平成20年からつるし飾り制作を始めました。きっかけとなったのは、同年8月に、大崎市のつるし飾り教室の先生から、講習会に誘われたことでした。  女性部の有志で講習に参加し、縁起物の「姫だるま」や、かわいらしい子どもの形をした「わらすこ」などの作り方を教えてもらいました。飾りに込められた意味を教えてもらいながら、一針一針縫っていると、自分たちの心が癒やされ、元気を取り戻していくのが実感できました。  地域の皆さんにも、つるし飾り制作を体験し、癒やされてほしいと思った私たちは、市民を対象とした講習会を開催し、初年度は約50人に参加してもらいました。以来、コロナ禍になるまで毎年講習会を行って、皆さんとつるし飾りを作ってきました。  栗駒地区では、以前から、各家のひな飾りを集めて展示するイベント「くりこま商家のひな祭り」を催しています。その会場で、ひな飾りと一緒に、部員や市民の皆さんが作ったつるし飾りを展示しています。訪れた人が笑顔で「すごい」、「きれい」と言ってくれることが、私たちがつるし飾りを作り続ける原動力になっています。 オリジナル飾りの誕生  つるし飾りの先生から「地域独自の飾りを考えるといいよ」とアドバイスをもらい、栗駒地区ならではのつるし飾りも制作しました。  始めは宮城県重要無形文化財の正藍染を伝える千葉家と、栗駒文字地区の愛藍人(あいらんど)・文字の協力を得て、藍染めのつるし飾りに挑戦しました。その後、自分たちで草木染めを勉強し、アカネや女性部員で育てたマリーゴールド、山々を彩るサクラなどを染料に、草木染めのつるし飾りも制作しました。  また、地域に密着した飾りを作ろうと、栗駒耕英地区特産品の高原大根や耕英いちご、イワナの飾りや、市の花ニッコウキスゲ、市の木ヤマボウシ、栗駒山にちなんでミズバショウなどのつるし飾りを考案し、講習会で参加者と一緒に制作してきました。 くりこまのつるし飾りを伝える  コロナ禍になってからも、方法を工夫して展示していますが、講習会はここ数年、開催できていません。「今年は何を作るの」と、楽しみにしてくれていた人が多かったので、再び市民の皆さんとつるし飾り制作ができる日まで、絶やさずに制作活動を続けていきたいと思っています。  また、今後は、つるし飾りに興味のある学生や若い人たちにも、作り方を覚えてもらい、伝えていきたいとも考えています。 写真 ▲アカネで染めた姫だるま ミニミニつるし飾り展 干支と花のつるし飾り 5ページ 【特集】栗原の手仕事 くりこまのつるし飾り つるし飾り制作の思い出  3人に、つるし飾り制作に関わる中での思い出を伺いました。 岡崎さん  私は裁縫が苦手ですが、仲間たちに励まされ、助けられながら作っています。完成した瞬間と、皆さんに見てもらえたときに、なんとも言えないうれしさと、やりがいを感じ、また作ろうという気持ちになります。 三浦さん  私は、どうしたら市民の皆さんもオリジナル飾りを作れるか、工夫しながら型紙を作っています。  みんなで作った飾りを披露するのを楽しみに、制作を行っています。 佐藤さん  つるし飾りの起源となったといわれる、江戸時代の金平糖(こんぺいとう)袋。色とりどりの布を組み合わせて作る美しい袋にあこがれ、作ってみたいと思っていた私に、神奈川県に住む友人たちが、泊まり込みで教えてくれました。完成したときは、感動で涙するほどうれしく、私の大切な宝物です。 写真 ▲岡崎さん制作の寅 ▲三浦さんが型紙を制作したミズバショウ ▲佐藤さんが友人と制作した金平糖袋 春の訪れを感じて  復興と癒やしの願いが込められた、くりこまのつるし飾り。その小さな飾りは、栗駒地区に住む女性たちの手で、一針一針思いを込めながら、作られています。姫だるまや、わらすこの愛くるしい表情を見ると、見た人もきっと笑顔になり、温かな気持ちになるのではないでしょうか。  2月は、一年の中で最も寒い時期といわれますが、この寒さを乗り切れば、春の足音が聞こえてきます。  今年も工夫を凝らした方法で、栗駒地区の恒例行事「くりこま商家のひな祭り」が開催されます。地区の皆さんが心を込めて作ったつるし飾りで、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。 くりこま商家のひな祭り ●開催期間 3月1日(水曜日)~5日(日曜日) ●開催場所 栗駒岩ケ崎地区内協力店舗  ※展示場所や時間など詳しくは、問い合わせください。  ※新型コロナウイルスの感染状況により、変更となる場合があります。 問い合わせ先 栗駒鶯沢商工会 電話45-2191