2ページ 【特集】栗原の手仕事 くりこまのつるし飾り  色とりどりの布で作られた、子どもの手のひらほどの小さな飾りをぶら下げる、つるし飾り。  ここ栗原には、災害からの復興と、癒やしの願いが込められた、つるし飾りがあります。  今月は、栗駒地区の女性たちの手で作られる「くりこまのつるし飾り」を紹介します。 江戸時代から伝わる文化  ひな祭りでは、ひな人形を飾ってお祝いをするのが一般的ですが、糸に飾りをつるす、つるし飾りも全国各地に伝えられています。  始まりは江戸時代といわれ、飾りに使われるちりめん細工は、女中や裕福な家庭の女性が着古した着物を使って、香袋(こうぶくろ)や琴爪(ことづめ)入れ、子どものおもちゃなどを作ったのが起源とされています。時代が流れ、それらをつるして楽しむようになり、やがて、庶民にもその文化が広まって、ひな祭りで飾られるようになったといわれています。 三大つるし飾り  つるし飾りは、日本のどこで発祥したのか定かではありませんが、各地で伝承されてきました。中でも、静岡県の「雛(ひな)のつるし飾り」、福岡県の「さげもん」、山形県の「笠福(かさふく)」が有名で、三大つるし飾りと呼ばれています。  下げる数が決まっていたり、近隣住民で持ち寄って作ったりとさまざまですが、どの飾りにも、子どもの健やかな成長を願う気持ちが、込められています。 伝承を大切にしながら  つるし飾りには、込められている願いの他、一つ一つの飾りに延命長寿や無病息災などの意味がありますが、必ずこの飾りでなければいけないという決まりはありません。  伝えられてきた形を大切にしながら、思い思いの願いを込めて楽しむことができるのも、つるし飾りの魅力の一つです。 3ページ 【特集】栗原の手仕事 くりこまのつるし飾り つるし飾りミニ図鑑  さまざまな願いが込められているつるし飾り。  その一部を紹介します。 姫だるま  だるまは、七転び八起きで福を招く縁起物とされ、また赤色は魔除けの色といわれています。  幼子の顔をした姫だるまは、愛くるしいわが子の面影を、その姿に重ね合わせています。 七宝(しっぽう)まり  昔から、女の子の遊び道具の代表とされるまり。  そのまりを彩る、日本の伝統模様の七宝模様は、円満、財産、子孫繁栄などを表しています。 梅の花  花の飾りには、花のように可憐(かれん)で美しく、愛らしく育つようにという願いが込められています。  また、梅の花には、清純や強さといった意味もあります。 参考図書:成美堂出版編集部 編「季節を彩る 美しいつるし飾り・さがりもの」、下田美知子・森幸枝・酒田商工会議所女性会 監修「作って楽しむ つるし雛」