4ページ  エンディングノートを書いた人は何を思い、周囲はどう受け止めたのか。ノートを書いた千葉さんと、家族に話を伺いました。 書くことが安心感へ 千葉 和子(ちば かずこ)さん(若柳片町2)  79歳になり、今後の大切なことを書いておきたいと思うようになりました。その折、以前から知り合いだった在宅センターの千葉所長に誘われ、マイストーリーに出会いました。  マイストーリーには、口からごはんを食べられなくなったときはどうしたいか、延命治療を希望するかなど、事前に考えておくべきことが分かりやすく書かれています。それまでは、自分の身に何かあったとき、どうすればいいのか不安に思っていましたが、書くことで自分の考えを整理できました。今では、もしものときでも、この一冊があれば大丈夫という、安心感があります。  数年前は、友人にエンディングノートの話をすると「80歳過ぎてから考えればいいのよ」と言う人が多かったです。最近は「早めに考えなきゃいけないよね」と言う人が増えて、意識の変化を感じています。書くことは大切ですし、月日の経過で物事の考え方が変われば、書く内容も変わります。私は80歳目前で書きましたが、もっと若いうちから書き始め、家族と話し合ってもいいと思っています。 残された家族のため 娘 三浦 美香(みうら みか)さん  母がどんな医療やケアを望むのか、ノートを見ながら具体的に確認できたのが良かったです。  延命治療など大きな決断を迫られたとき、残された家族は「本当にこれで良いのだろうか」と悩んだり後悔することがあると聞いてます。私も親なので、そういう重荷を家族に背負わせないためにも、詳しく書き残し、話し合うことは大切だと感じました。 明るい話し合いに 孫 三浦 香花(みうら きょうか)さん  マイストーリーの中で印象的だったのが「わたしの歴史」というページです。「おばあちゃん、こんな若くに結婚してたんだ」と、私が知らなかった祖母の人生が書いてあり、驚きました。  楽しい内容が書いてあり、私たちもマイストーリーを手に取りやすく、思い出話をしながら明るく話し合うきっかけになりました。  私と母は仙台に住んでいるので、祖母と直接話す機会がなかなかありません。そのため、こういう形で祖母の思いを事前に残していてくれると、大事な話し合いの場で役立ちますし、家族は本人の思いをくみ取りながら準備できると思いました。 マイストーリーの一部を紹介  マイストーリーの中から、人生を振り返る項目を紹介します。  今まで歩んできた人生を振り返ることは、今後自分がどう生きていきたいかを考えるヒントになります。人生の物語(マイストーリー)を書いてみましょう。 5ページ 【特集】人生の物語を話し合おう 始めてみよう、人生会議  人生会議の進め方について、流れの例をまとめました。  必ずしも、この流れに沿う必要はありません。また、心身の状態や価値観の変化に伴い、意思も変化します。普段から少しずつでも考え、繰り返し話し合いましょう。 ①自分が大切にしていることを考える  「家族との時間を過ごしたい」、「痛みや苦しみをなくしてほしい」など、大きな病気やけがをしたとき、何を大切にし、どのように過ごしたいかが重要です。  そのために、延命治療や緩和治療、在宅介護など、どんな医療、ケアを希望するか、考えてみましょう。 ②周囲の信頼できる人を考える  意思表示が難しい状態のとき、あなたの意思や価値観を尊重し、あなたの代わりに医療、ケアの進め方について話し合ってくれる人は誰ですか。  家族や親族、親しい友人など、もしものときに頼れる人を考えておきましょう。 ③信頼できる医療・介護スタッフと話し合う  かかりつけ医や介護サービスのスタッフなど、普段からあなたのことをよく知っている医療・介護スタッフと、医療、ケアに関する自分の思いや最善の方法について、事前に話し合いましょう。 ④信頼できる人と共有する  自分の思いや、医療・介護スタッフとの話し合いの結果を、信頼できる人と共有しておきましょう。文章にして書き残しておくことも大切です。 ●厚生労働省では、人生会議の普及・啓発に関する動画を公開しています。人生会議に取り組む際の参考にしてください。  URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24875.html ●人生会議の取り組みは、個人の主体的な行いによって考え、進めるものです。先のことを知りたくない、考えたくないという人への配慮も必要です。 人生の物語を見つめて  自分の今後の生き方について考え、家族など周囲の人と話し合う人生会議。中には「私は1人暮らしだし、家族や親族もいないから関係ない」という人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。近所の人や友人に自分の考えを話すだけでも、人生会議といえます。  大切なのは、自分の考えを誰かに話し、自身について分かってもらうことです。それだけでも、将来への不安や悩みが軽くなり、これからを前向きに生きていく手助けになります。  また、人生会議に参加した周囲の人も、皆さんの考えを知ることで安心し、その意思を尊重するために、事前の準備や心構えをすることができます。  あなたの人生の物語を、これからどう進めていきたいか考え、周囲の人と少しずつ話し合ってみませんか。 ▲人生会議のロゴマーク