2ページ  生活用品や仕事道具、服飾雑貨。  籠は、さまざまな場面で、生活必需品の一つとして暮らしに取り入れられてきました。  今月は、手編み籠の魅力について紹介します。 【特集】籠~手編みの魅力に触れて~ 籠の歴史  私たちの生活に籠が利用されてきた歴史は古く、始まりは縄文時代といわれています。全国各地の遺跡からは、当時の生活に使われていた籠が出土しています。  出土した籠の素材には、竹、笹類や植物のつるの他、樹木の内皮や樹皮などが使われていました。植物によって強度や性質に違いがあるため、素材の特徴を生かした籠作りが行われていたのです。  江戸時代以降、農業や漁業の技術が急速に発達し、籠は大切な仕事道具として重宝され、収穫用の背負い籠や魚を捕るための仕掛け籠といったように、さまざまな形と大きさのものが作られてきました。 栗原の籠作り  かつては、市内でも農家の副業として、竹を使った籠作りが盛んに行われていました。特に栗駒岩ケ崎地区は、衣類を保存する竹行李(たけこうり)と呼ばれる籠の、全国有数の生産地でした。編み目の美しさや、耐久性の高さ、着物の保存に必要な通気性に優れていたと、伝えられています。  こうした籠作りは、昭和40年代ごろまで続けられていましたが、高度経済成長期の到来や生活様式の変化によって、竹行李の需要は徐々に減り、生産者の数も減少していきました。現在、市内で竹行李の生産は行われていませんが、籠やざるなどの生産は、一部の地域で続けられています。 素材を変えて  最近では、再生紙から作られた紙ひもや、梱包用のプラスチック製ひもを使って籠が作られています。これらの素材は、手に入れやすく、丈夫なため、趣味で籠作りを行う人もいます。  伝統的な技法をそのままに、現在もさまざまな素材で籠作りは伝えられています。 3ページ 【特集】籠~手編みの魅力に触れて~ 手編み籠の伝統技術を知る  昔から受け継がれてきた伝統的な編み方で、現在も作られ続けている手編み籠。  籠は、竹などの素材を細く割って作る「ひご」を材料に作られています。編み方によって模様が異なり、さまざまな種類が受け継がれてきました。  今回は、基本的な編み方を4つ紹介します。 四ツ目編み  縦横それぞれ2本ずつのひごを平行に組んで、四角形の編み目を作ります。  工程は簡単ですが「四ツ目に始まり、四ツ目に終わる」と言われるほど、熟練した技術が求められる編み方です。 六ツ目編み  6本のひごを斜めに組んで六角形を作り、その部分を中心に編んでいきます。  斜め編みをすることで、頑丈な作りになるため、古くから籠やざるを作る際の基本的な編み方として、用いられてきました。 網代(あじろ)編み  縦横どちらも同じ幅のひごを使って、交差する部分を2本飛ばし、3本飛ばしにしながら隙間なく編んでいきます。  並び方に変化を付けたり、部分的に3本飛ばしにして編むといったように、工夫できるのが特徴です。 ござ目編み  ざる目編みともいい、編み目がござやすだれのように見えることから、この名前が付きました。  他の編み方と比べ、横ひごの数が縦ひごよりも多いのが特徴です。強度があるため、ざるなどの日用品に多く用いられています。