2ページ  病院や診療所(クリニック・医院)には、優しい笑顔と献身的な看護で私たちを支えてくれる強い味方が居ます。  今月は、市立病院看護師の仕事について紹介します。 【特集】看護師の仕事 ~まなざしの先に~ 病院と診療所の違い  市立の医療機関には、栗原中央病院、若柳病院、栗駒病院の他、4つの診療所があります。  患者が入院できるベッドの数が20床以上ある医療機関を病院と呼びます。その他、スタッフの数や、それぞれ医療機関が持つ役割などにも違いがあります。 市立3病院の特徴  栗原中央病院は平成14年7月、旧栗原郡10カ町村の共同で開院し、地域医療の中心として他の医療機関との連携に努めています。また、救急指定病院や栗原地域の災害時における災害拠点病院としての機能、さらに、基幹型臨床研修病院としての役割を担っています。  若柳病院は昭和33年7月、若柳町立国民健康保険病院として開院し、平成17年3月、現在の場所に開設し、合併とともに市立若柳病院に改称しました。居宅介護支援事業所指定を受け、慢性期医療の基幹病院として、また、在宅・介護支援の拠点として各分野との連携で、中心的な役割を担っています。  栗駒病院は昭和28年10月、公立岩ケ崎病院として開院。昭和34年5月、栗駒町国民健康保険病院へと改称し、合併とともに市立栗駒病院に改称。比較的重度の要介護者に対して、充実した医療処置とリハビリを提供する介護療養型医療施設の指定を受けました。令和3年4月から病床数の適正化のため、療養病棟のみとなり、慢性期診療を中心に、近隣病院や診療所、各分野との連携と機能分担を図っています。 患者数と看護師  令和3年度延べ患者数を見ると、3病院で入院106,758人、外来164,593人、合計271,351人となっています。これは1日平均292.5人が入院し、680.1人が外来で利用していることになります。  看護師の正規職員数は、令和4年4月1日現在、准看護師を併せ、栗原中央病院は185人、若柳病院は57人、栗駒病院は21人となっています。限られた人数で日勤、夜勤をこなし24時間体制で看護に当たっています。 3ページ 【特集】看護師の仕事~まなざしの先に~  3病院の看護師に、話を伺いました。 日々の訪問を大切にする 若柳病院在宅支援訪問看護室  現在、若柳病院では、外来看護師と病棟看護師の他、在宅支援訪問看護に訪問看護師6人、介護支援専門員2人が携わっています。  平成7年、当時の院長が、入院していた患者さんの「家に帰りたい」という思いに寄り添い、始めた往診が、現在の訪問診療と訪問看護の先駆けでした。その後、平成12年に介護保険制度が制定され、居宅介護支援事業所を院内に開設し本格稼働となりました。  訪問看護では、がんの終末期や神経難病、胃に管を取り付け、直接栄養を摂取する胃ろうなど、医療依存度の高い患者さんを訪問しています。退院が困難と思われる患者さんも、きめ細かい支援があれば、自宅での生活も可能となります。訪問は、看護師一人で向かいますが、医師やケアマネジャー、介護サービスのスタッフと連携しながら24時間体制で、緊急時の対応を考え、自宅での生活をみんなで支えています。大変な緊張感を感じますが「訪問先は、自己判断する場ではない。一度病院に戻ってから、みんなで考えるチームプレーなんだ」と教わり、チームで頑張っています。  また、患者さんやご家族から、病気をはじめとするさまざまな質問や悩み、喜びの声を耳にします。「患者さんとご家族の話をよく聞いてあげて」と先輩からの言葉が、いつも胸の中にあります。ただ話を聞く行為、傾聴が看護につながるということを、経験を重ねて気付きました。  私たちは、訪問看護に当たる看護師の仕事が特別な仕事とは思いません。患者さん自身に合った生活、その人らしい生き方を送る手助けができる訪問看護は、看護の原点であり、充実した看護に当たれる仕事と思っています。 写真 若柳病院在宅支援訪問看護室の皆さん ※撮影のため、マスクを外しています。 看護でつながる絆 栗駒病院療養病棟  栗駒病院の病棟は、急患や重症な病気に対する治療、手術など急性期治療を終えて、状態が落ち着いてはいるものの、引き続き医療を必要とする患者さんが、療養する病棟です。  主に、栗原中央病院や近隣の医療機関から転院し療養しています。45床と比較的小さな病院ではありますが、その分、他職種との距離感が近く、医師をはじめ、薬剤師、栄養士など専門職の皆さんと力を合わせることで、患者さん一人一人に寄り添った的確な看護が迅速にできます。それは、患者さんにとって良い結果につながっています。  看護師の仕事は、高齢の患者さんが多いため、点滴や喀痰(かくたん)吸引などの看護に加え、介護の割合が大きく、おむつ交換や口腔(こうくう)ケアなど、身の回りの清潔ケアを含めた生活のお世話があります。寝たきりの患者さんやナースコールが自分ではできない患者さんも居るため、常に見回りや声掛けを行い、状態把握に努めています。  ここ数年、コロナ禍で面会ができず、患者さんは家の事や家族を、家族は患者さんの事を互いに心配しています。そんな心配や不安が少しでも和らぐよう、洗濯物を届けにきた際には、ご家族には患者さんの様子を、患者さんにはご家族の様子を伝えるようにしています。また、希望者にはタブレットや携帯電話を準備いただき、テレビ電話の対応もしています。声を聞いたり姿を見たりすることで、患者さんの表情はパッと晴れやかになります。  看護という仕事は大変です。自分のやったことが目に見えて分かるときと、分からないときがあります。しかし、目に見えていなくても、必ず何かに結び付いています。  私たち看護師は、私たちができること、やるべきことをやる、と常に心に留め、目の前の患者さんはもちろんですが、患者さんを通して、その家族を含めた背景も見つめています。 写真 栗駒病院療養病棟看護師と看護助手の皆さん