2ページ  暖かくなるこれからの季節。ナスやキュウリ、トマトなど多くの野菜が旬を迎えます。中でも、栗原の特産品として注目を集めているのが、ズッキーニです。  今月は、特産品となった経緯やおいしい食べ方、更には家庭での栽培方法まで、ズッキーニの魅力を紹介します。 【特集】ズッキーニの旬がやってくる! ズッキーニってどんな野菜?  主に6~8月に旬を迎えるズッキーニは、見た目はキュウリに似ていますが、カボチャの仲間です。イタリア語では「小さなカボチャ」を意味します。  癖がなく食べやすい野菜で、高血圧の予防に効果的なカリウム、老化防止や動脈硬化の予防に役立つベータカロテンなどを含みます。ベータカロテンは脂溶性のため、煮込み料理やグラタンの具に使用する前に、オリーブオイルなどの油で調理すると吸収効率が高まります。 普及に向けての取り組み  平成27年、栗っこ農業協同組合が主体となり、ズッキーニの生産と消費の拡大を目的としたZ600プロジェクトが開始され、その構成機関に宮城県栗原農業改良普及センターと市が参加しました。  翌年には、Z600の取り組みを継続する形で、三者一体のZ-1プロジェクトが始動しました。Z-1は、ズッキーニの頭文字のZと、目標年間販売額1億円の1から名付けられました。  生産・販売・行政の観点から、生産者向けの講習会や栽培検討会、市内外の飲食店と提携したくりはらズッキーニウィークの開催、テレビ番組による宣伝、県庁での販売会など、多くの普及活動を行ってきました。 写真 ▲生産者が集い行われた栽培検討会(令和元年) ▲にぎわいを見せた県庁販売会(令和2年) 3ページ 【特集】ズッキーニの旬がやってくる!  ズッキーニが栗原の特産品となったきっかけや取り組みについて、普及活動に携わる操さんに話を伺いました。 新みやぎ農業協同組合 栗っこ営農部 栗っこ園芸センター 操 達哉(みさお たつや)さん 栗原産ズッキーニ誕生までの道のり  栗原で本格的に生産されるようになるまでには、紆余(うよ)曲折がありました。  西洋野菜が国内市場に広がり始めた昭和の終わりから平成初期にかけて、栗原でズッキーニの生産を試みました。当時は世間での知名度はまだ低く、あまり需要がなかったため、生産者は増えませんでした。それからは、一部地域で細々と作っている状況が続きました。  その後、栗原市誕生と併せて、栗っこブランドの特産品を生み出そうという動きがありました。ソラマメやキュウリが候補に挙がる中、脚光を浴びたのがズッキーニでした。以前より知名度が向上していたことや県内の他地域でも大規模な生産はしていない野菜ということから、ブランド化に向けて動き始めました。 生産と消費の拡大へ  平成26年に、ズッキーニの名産地である茨城県や長野県に出向き、消費者に好まれる実の形や梱包(こんぽう)の仕方を勉強しました。例えば、茨城県常総市では立派に育った実が見えるデザインの梱包をしていて、栗原産の梱包もそれを参考にしました。  学んできたノウハウを生かし、栗原産ズッキーニの生産と消費の拡大に取り組むため、平成27年、市内の作付面積600アール(6ヘクタール)を目標にしたZ600プロジェクトを立ち上げました。この目標がすぐに達成されたことを受け、Z600の取り組みを継続する形で立ち上がったのが、今のZ-1プロジェクトです。 目標達成に向けて  今後も、Z-1の目標としている年間販売額1億円達成に向けて、広報・宣伝活動による栗原産ズッキーニの知名度向上や量販店への販売流通強化に努めていきます。  販売額が増えるということは、生産者の収益増加につながります。当然のことですが、農作物はそれを作る生産者があってこそです。  コロナ禍で制約はありますが、生産者、消費者、関係機関の皆さんの力を借りながら、どのような普及活動が良いか考えていきたいです。 栗原はズッキーニの一大生産地  Z-1プロジェクトの取り組みの成果もあり、栗原のズッキーニ出荷量は、県内で第1位となっています。その量は年間100トンを超えていて、県内の他地域と比較しても、圧倒的な出荷量を誇っています。  栗原の農作物といえば、真っ先に米を思い浮かべますが、仙台や石巻の市場に加え、東京都の大田市場などに出荷されているズッキーニも、栗原を代表する農作物となっています。 栗っこズッキーニキャラクター クリッキーニョ  ボクの仲間たちは、窓から顔が見えるようにして出掛けていくよ。  こんなに多くの仲間たちが出掛けているなんて、ビックリだよ! 写真 ▲透明なフィルムを掛け、中身が見える状態で出荷 グラフ ズッキーニ 令和2年出荷量(新みやぎ農業協同組合調べ)