4ページ 【特集】栗原愛 〜そこに愛はありますか〜  平成31年、平成最後の年を迎えました。栗原市は平成の大合併と言われた全国的な市町村合併の動きとともに、10町村が一つとなり誕生しました。あれから14年、今月は、栗原の今を見つめ、これからの栗原について考えてみます。 進む人口減少  平成17年4月に誕生した栗原市。当時は、今よりも約1万人多い8万人が住む町でした。国内人口が減少に転じた現在、栗原では年間千人のペースで人口が減少し、高齢化が進んでいます。人口減少により、いったいどのような問題が引き起こされるのか。それは、地域経済が低迷し、農地の保全管理や集落の維持が難しくなるなど、市にとって大きな課題となります。  これまで市では、市民が創るくらしたい栗原を目指し、各地区の魅力を引き出すまちづくりに取り組んできました。また、定住促進や子育て支援、医療福祉の充実に企業誘致、各種農業者支援などにも取り組んできました。しかし、打ち出してきたこのような施策は、必ずしも、すべての市民が満足できる施策ではなかったのかもしれません。  市民が充実した生活を営み、安心して暮らしていくため、次の時代に今一番必要とされているものが何なのか。その答えに近づくヒントを探ってみましょう。 栗原はどう見えている  「栗原はいいところだね」と会話が弾み、自然に笑みがこぼれた交流会。昨年11月に、栗原に移住した人などを対象に開催した、さざほざ交流会での一言です。市外から訪れる人には、栗原がどのように見えているのか、聞いてみました。 5ページ 齋藤 章(さいとう あきら)さん・京子(きょうこ)さんご夫妻(花山座主)  昨年7月に大阪から花山地区に移り住みました。栗原での生活は、思うような仕事が無く困っていますが、澄んだ空気や水、新鮮な食材やうまい酒、日本の原風景とも言える山間に段々と続く田園風景に温かい人たちなど、大阪には無い豊かさがあります。  私たち夫婦は、栗原のゆったり流れる時間の中で、これまで長い間、顔を合わせて会話をすることがなかったことに気付きました。お互いをより理解する良い時間ができました。その反面、夫婦で腕を組んで散歩するだけで、次の日には、地域の話題になるなど、驚かされたこともあります。  栗原は、不便さを差し引いても素晴らしく、皆さんにとって当たり前のこの環境が、移住者にとってはかけがえの無いものに映っています。この素敵な栗原を、多くの人に知ってほしいと思います。 大井 千穂(おおい ちほ)さん・伏見 芽〔ふしみ めい〕さん(利府町・多賀城市)  私たちは、栗原市の移住定住の取り組みについて卒業論文のテーマとして研究しています。なぜ、栗原市なのか、その理由は、大学3年生のゼミで、栗原の観光について学んだからです。  不安を抱えながら栗原市を訪れた私たちに、出会った人たちはとても親切で、「何しに来たの」、「何かあったの」などと優しく声を掛けてくれました。困っていることがあれば、すぐ相談に乗り、助けてくれました。そんな栗原の人たちとの出会いは、大学や自分たちの周辺だけでは、決して学ぶことができない大人との関わりや、距離の取り方など教えてくれたのです。