• くりはら研究所だより第67号
  • 2012年8月16日(木曜日)発行

栗駒山麓ジオパーク講演会 ジオパークから学ぶこと

ジオパークについて説明する渡辺氏7月22日(日曜日)/栗駒総合支所大会議室

 独立行政法人産業技術総合研究所 渡辺 真人(わたなべ まひと)氏(日本ジオパーク委員会事務局員)を招いて「ジオパークから学ぶこと」をテーマに、基本的な知識やジオにまつわる活動などを理解していただくことを目的に開催しました。

 講演会での主な内容は次のとおりです。

ジオパークとは

 『人とジオが出会う場所』
 ジオというのは、一言で地球と言ってしまうと大き過ぎますが、大地、地球、地面などの仕組みや働き、歴史に気づいてもらう場所であり、それらを体験、交流して、学べる場所がジオパークです。

ジオパークの理念

  1. 地層や地形などの大地の遺産があって、その価値を地元の人によく知ってもらう。

  2. これは素晴らしいものだということで、適切に保全し、子どもたちへの教育や観光に来た人達への資源として活用していく。

  3. その結果、地域が豊かになって、その分を保全にフィードバックしていく。この3つを行っていくということになります。

ジオパークという仕組みのルール

  • ジオパークの範囲を明確に決め、ジオパーク内に、ジオサイト(地形や地層を観賞できる場所など)や文化・歴史的サイトが複数あって、適切に保全されていること。

  • 保全するだけでなくジオサイトを楽しむためのインフォメーションセンターや野外の観察路、説明板、ガイドブック、ガイドする人材が必要です。

  • ジオサイトを活用したジオツアーや体験プログラムなどの活動が必要です。

  • ジオパークは「ある場所」ではなく、「場所にいる人たちの活動」で、「なにがあるか」よりも「なにをしているか」が重要です。

ジオパークの価値を上げる

 ジオパークには、自分の地域を語れる人が不可欠であり、大地の成り立ちと自分達の暮らしとの関わりを語れる人が住んでいることが重要です。そういう人がいて、お客さんと交流することがジオパークだということ、みんながジオパークに詳しい「ジオパークの人」になることが良いジオパークになるポイントだと思います。 さらには地域の人の活動が大事であり、その取り組みを行うことによって、ジオパークはどんどん価値を上げられるということです。

ジオパークのこれから

市内外から77名の参加がありました 観光客の増加による地域への経済効果など、すぐに大きな効果はないことは明らかです。
 しかし、長期的にみると、ジオパークという共通の目標による人のつながり、地域学の振興による地域の誇りの醸成、子どもの教育、地域の未来を考える内外の人脈など、徐々に良いことが起こっていくのがジオパークだと思います。

今後の課題(栗原への期待)

  • 栗原が目指すジオパークの中心となる荒砥沢ダム上流部の地すべりは、規模が大きく、どのようにして起こったのかが良く分かるという特徴がありますが、一つのジオサイトですので、全体のテーマとストーリーをどうするのかが課題です。

  • 栗駒山を囲んだ地域や、太平洋沿岸でジオパーク構想を持つ地域との連携なども視野に入れ、さらには東北ジオパークネットワーク構想など、いろいろな地域が集まってアイデアを出し合うことで良いジオパークになるのではないかと思います。

経過報告 【7月7日(土曜日)】
  • 市が、日本ジオパークネットワークに準会員として入会
  • 栗駒山麓ジオパーク推進庁内検討プロジェクトチームを設置

「旅の図書室」からのお知らせ

ジオパークの本、多数そろえました◆ジオパークコーナーを設置しました

  市では平成20年岩手・宮城内陸地震で被災した栗駒山麓崩落地の地形・景観を中心に、日本ジオパーク認定を目指して事業を展開しています。研究所では、市民の皆さんのジオパークに対する理解を深めていただくために、旅の図書室に「ジオパークコーナー」を設置しました。
 そのほか、ツーリズムや観光に関する本、情報誌などを多数そろえていますので、気軽に利用してください。

  • 開設場所 田園観光課事務室内(くりこま高原駅内)
  • 利用時間 午前8時30分から午後5時30分(土曜日・日曜日、祝日除く)

【募集】古民家で納涼 うちわ作り教室

 古民家「夷穴大東(えぞあなおおひがし)」で、和紙を材料に使った「うちわ」を手作りする教室です。
 好きな和紙を選び、竹骨に貼り付けて、うちわを作ります。黒光りする太い梁、年月を経て味わいのある板の間など、古民家の風格のある空間のなかで、残暑の夏を涼しく過ごしましょう。

  • 日時 8月26日(日曜日)午前10時から11時30分
  • 場所 夷穴大東(えぞあなおおひがし)
  • 所在地 栗原市若柳字上畑岡夷穴9
  • 定員 15人(先着順)
  • 参加費 800円
  • 持ち物 はさみ
  • 主催 くりはらツーリズムネットワーク
  • 申込先 くりはらツーリズムネットワークまで電話またはファクス、メールで申し込みください

【問い合わせ先】
くりはらツーリズムネットワーク 電話:0228-23-0050(ファクス兼用)
Eメール:kurihara.tn@gmail.com
※ 受付は、祝日を除く火曜日から土曜日の午前10時から午後5時までです

【リレー随筆】大好きな『巧みの栗原』♡

若柳地区農産物直売所 くりでん出荷組合 糸畑 笑貴子(いとはた ふきこ) さん

糸畑笑貴子さん

 栗原へ越してはや2年。栗原での毎日は、見るたび、触れるたびに感動や発見があります。特に興味をそそられたのは、大正4年製造の織機で、伝統の技を継承している若柳地織(わかやなぎじおり)の織物。他にも陶芸や工芸等の名品を知り、作者の方々に出会うこともできました。

  先月、無形文化財指定・正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)の千葉まつ江さん(栗駒下文字)の藍染め工程を見る機会を得ました。洗練された手さばきは神業で、藍に浸すたび青から緑色へ、そして藍色へとだんだんと色が増してゆくさまはとてもきれいで神秘的な光景でした。藍を育て、刈り取り、藍玉を作り、藍だてをし、染め、二迫川で染料を洗い、乾燥と、全ての工程が手作業。山間の天候を熟知し、山と語り合っているような自然と共存した営みから産まれる作品に感動しました。また、先日は、白鶯窯(はくおうがま)の河田 勉成(かわた べんせい)さん(鶯沢八沢)の工程を特別に見せていただきました。「土を触っているときが無心になれる一番好きな時間だ」と語る勉成さん、ろくろを回している手元はまさに手品師。当たり前なのですが、勉成さんの手から次々と粘土から器へと産み出されるさまは、機械のように見事でまたまた感動します。「日本の技・栗原展」inパリの紹介カード
 そして、このような素晴らしい栗原の職人の技を9月9日(日曜日)から22日(土曜日)まで、フランス・パリの12区にあるエスパス・ジャポンギャラリーで、特別展示できることになりました。フランス在住の知人に、若柳地織の布地を紹介したのが縁で、「日本の技・栗原展」(仏題 Artisanat de KURIHARA)と題して、栗原の職人の作品〔正藍冷染、若柳地織、座主窯(ざすがま)、白鶯窯、愛畳工房(あいじょうこうぼう)、ハスクラフト〕と、写真で栗原の自然景観を紹介します。知人も栗原が気に入り、今回の特別展示をコーディネートしてくれました。
 多くの人に栗原の技と心と自然の美を知ってもらい、同じ感動を味わっていただけたら本当にうれしいです。

くりはら研究所だよりPDF版

 くりはら研究所だよりPDF版のダウンロード