• くりはら研究所だより第113号
  • 2016年7月1日(金曜日)発行

シリーズ ジオパーク 37
ジオガイドによる世界谷地湿原の案内事業

6月/栗駒地区 世界谷地湿原

 ニッコウキスゲなどの高山植物が有名な世界谷地湿原に栗駒山麓ジオガイドが常駐して見どころや成り立ちを案内する事業を実施しました。

事業概要

 「ジオガイドと歩く世界谷地散策」として取り組んだこの事業は、栗駒山麓ジオパーク推進協議会にとって初めての取り組みで、個人やグループでの散策にジオガイドの視点を加え、より散策を楽しんでいただくことが目的です。
 多くの観光客が訪れる6月第1週から第3週の土・日曜日の6日間、親子連れやツアーバスなど、167人の方を案内しました。

世界谷地湿原について

画像:世界谷地に夏を告げるニッコウキズゲ とても広い湿地という意味から名づけられたとされる世界谷地湿原は、栗駒山の中腹部に位置し、標高669メートルから707メートル地帯に広がる細長い湿原で、面積は14.34ヘクタールあります。
 例年6月には、ワタスゲやレンゲツツジなど多くの高山植物が湿原内を彩ります。特に、市の花でもあるニッコウキスゲが湿原一帯に群生する景観は必見です。
 毎年この時期になるとカメラを手に足を運ぶ方も見られます。
画像:ジオガイドによる案内の様子 このような湿原ができた背景には、地形と深い関わりがあります。栗駒山の火山活動により流れ出た溶岩や火砕流が冷えて固まり、緩やかな平坦地が作られました。平坦地には水がたまりやすく、そこでは様々な植物が成育し、枯れて行くことを繰り返し、その堆積物が炭化(泥炭)したものが湿原の基となっています。
 湿原には、低層、中間、高層湿原と3つの段階があり、世界谷地は泥炭が厚く堆積し周囲より盛り上がった状態の高層湿原と中間湿原の両方の状態にあります。
 湿原までのブナ林の見どころとして、ベニタケの仲間の菌類に寄生するギンリョウソウ、ブナの二次林、クマの引っかき傷なども見ることができます。

参加者の声

 参加いただいた方の大半は、市外の方々でした。
 アンケートからは、「花や植物に関して丁寧にガイドいただいた。」、「目からうろこという感じがした。」などの声が寄せられました。

ジオガイドの実践の場として

画像:案内いただいたジオガイドの皆さん 栗駒山麓ジオガイドとして活躍しているのは、栗駒山麓ジオガイド養成講座の初級・中級を修了された方々です。現在41人の登録者のうち、経験の少ない方や未経験の方にも実践する機会を設け、全体の底上げにつなげています。期間中、のべ38人の協力をいただき、各回のツアーには、メインのガイドのほかに補助役が同行し、参加者との会話などを通して、自分なりのガイド方法を見つけようとしている姿が印象的でした。また、待機時間を有効に活用して、気になることを相互に確認し合うなど、ガイド間でも人間関係が築かれていることが感じられ、ジオパークを通した地域づくりやネットワークづくりの一端が見られました。

ジオパークだよりとしてリニューアルします

 これまで広報くりはら「くりはら研究所だより」の一部として、シリーズジオパークをお届けしてきました。
 来月から、ジオパークだよりとして、ジオパークの基礎知識や地域おこし協力隊員の活動紹介、各種のイベントお知らせなどを行っていきます。

「くりはら研究所だより」から「ジオパークだより」へ 

くりはら研究所と研究所だより

 市では、観光産業の振興と個性的で活力のある田園観光都市づくりを目指し、平成18年に田園観光都市室、通称くりはら研究所を設置し、取り組みをしてきました。
 くりはら研究所は、手始めに市内の地域資源の調査や研究に取り組むとともに、活動をお知らせする「くりはら研究所だより」を平成18年に発行開始し、単に市民の皆さんへお知らせするだけではなく、意識を高めてもらう手段にしたいという思いから、これまで113号を発行してきました。

田園観光都市創造事業と地震

画像:故 麦屋弥生さんと市内全域の観光資源を探し、調査しました くりはら研究所では、田園観光都市創造事業として、外部の有識者とともに栗原の魅力や地域資源を調査・研究した報告書を作成しました。この作成で、中心的な役割を果たしたのが、故 麦屋 弥生(むぎや やよい)さんです。市では、地域資源の生かし方や仕組みづくりを麦屋さんの指導で進めようとしていましたが、平成20年岩手・宮城内陸地震が発生し、麦屋さんは、この地震によって発生した悲劇に巻き込まれ、ご逝去されてしまいました。

栗駒山麓ジオパーク

画像:栗原の餅文化 2度の震災を経験した栗原市は、地震の経験と教訓、崩落地の地形・景観を次世代につなげていくとともに、多様で豊かな自然や歴史、文化など、地域資源を併せて防災教育や学術研究、観光に活用しながら地域の活性化を図るため、平成27年9月に「日本ジオパーク」の認定を受けました。この取り組みは、これまでの田園観光都市創造事業と強く結びつけた取り組みであり、認定は、市全域をエリアとする「自然災害との共生と豊穣(ほうじょう)の大地の物語」として、画像:平成20年岩手・宮城内陸地震前には市内に500棟をこえる長屋門がありました次のステージの始まりでもあります。

これからについて

画像:田植えの風景と残雪が残る栗駒山画像:ねじりほんにょ こうしたことから、これまで発行してきた「くりはら研究所だより」も「ジオパークだより」として名称を新たにして発行していくことにしました。今後も、栗原市を愛してくれた麦屋さんが提言していた「地域の資源に光をあて、地域の人々が元気になること」という考え方・遺志をしっかりと心に刻み取り組みを画像:荒砥沢崩落地(写真提供:林野庁東北森林管理局)進めていきますので、引き続き市民の皆さんをはじめ、関係者の協力をよろしくお願いします。第1号の「くりはら研究所だより」を平成18年に発行してから9年5カ月にわたり、栗原のすばらしい自然、悠久の歴史、おいしい食、そして人情味あふれる人など、さまざまな光(魅力)となる地域資源の調査、発掘、活用方法などの研究に協力いただいた皆さん、講演会や食談義、モニターツアーなど様々な事業に参加いただいた皆さんに感謝申し上げます。
 また、今後も市民の皆さんに興味・関心を持っていただけるよう、栗原の魅力を発信していきますので、よろしく願いします。

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