• くりはら研究所だより第38号
  • 2010年1月16日(土曜日)発行

資源の魅力シリーズ2 近代化産業遺産 その3

写真:細倉山神社

 境内には、苔(こけ)の生えた石燈籠(いしどうろう)や石段、樹齢400年ともいわれる大杉。「細倉山神社(ほそくらさんじんじゃ)」は、鶯沢の山中にひっそりと佇(たたず)んでいます。
 今回は、前回の「かもじ坑(しき)」から「たぬき掘り跡」を通り過ぎ、細倉山神社を目指して。
 道中は、ゴツゴツとした石が転がっている鉛川に沿って、ところどころ岩肌が露(あら)わになっている切り立った山あいを分け入るように坂道が続きます。改めて、この土地が鉱山であることが実感できます。
 細倉山神社は、文化5年(1808年)に建立され、鉱山の神様を祀(まつ)っています。地元の人には「奥の山神様(おくのさんじんさま)」とも呼ばれています。
 かつては、このあたりが鉱山の中心地。鉱山で働く人々の生活が営まれていました。
 「細倉」とは、もともと細倉山神社付近のことを指したようです。
 しかし、現在では鉱山労働者の森下社宅があった市営森下住宅付近から西の地域を細倉と、多くの人は言います。
 鉱山経営が東へと広がり、いつしか鉱山に関係している地域を細倉と称するようになったのではないかと想像が膨らみます。
 今でも、鉱山関係者が安全を祈願して参拝に訪れています。
 毎年5月12日には、「山神祭(さんじんさい)」が催され、安全祈願と神楽「鶏舞(とりまい)」が行われています。
 鉱山と深くかかわりのある神社です。

資源調査で観つけた小さな光

軒下

写真:軒下に吊るされた玉ねぎ

 初霜が降りるころになると、家々の軒下に、等間隔でぶら下がる干し柿。私は、この光景が大好きです。
 どうしてなのか、心がひきつけられます。季節を追って、「軒下」を眺めてみると…。
 春先、作業場の軒下には、農具や肥料の袋が並べられています。春の訪れと同時にこれから始まる稲作に向けて、農村が動き出す様子を感じることができます。
 梅雨の晴れ間を縫ってじゃがいもの収穫が始まると、軒下には、土が付いたじゃがいもが広げられます。大きいものや小さいもの、少し不格好のものがごろごろと…。とてもかわいらしくて、思わずほほえんでしまいます。
 秋になると、風通しの良い軒下には、玉ねぎやにんにくが結わえられ、網袋に入れたくるみが吊(つ)り下げられ保存されます。また、寒さが増してくると、漬物用に葉と葉を結んだ干し大根や、糸を通した煮物用の凍(し)み大根が吊り下げられ、その下には、一つ一つ丁寧に新聞紙に包まれた白菜が、整然と並べられています。
 どれも、見過ごしがちで何気ない光景。でも、形がおもしろかったり、表情があったり、小さくてかわいかったり、色と形の調和がかっこよかったり…。暮らしの中にある光景が、心地よく感じるのかもしれません。
 忙しく暮らす毎日の中で、ひと呼吸おいて、季節を感じる一コマです。

【活動レポート】ジオパークに関する市民学習会

大事なのは物語と語り部

ジオパークに関する市民学習会

 ジオパークとは、地球活動の遺産を主な見どころとする自然の中の公園です。
 今回は、ツーリズムで地域を活性化する取り組みとして注目されるジオパークについて、学習会を開催しました。

  • 日時 2009年12月23日(水曜日) 午後2時から午後4時30分
  • 会場 みちのく伝創館
  • 参加者 57人
報告 荒砥沢地すべり対策と地形・景観の活用

報告者 東北森林管理局 宮城北部森林管理署 宮城山地災害復旧対策室 室長 江坂 文寿(えさか ふみとし)氏

 被災個所の中でも特に関心の高い荒砥沢地すべり跡の工事内容と今後の計画を江坂氏から説明してもらいました。
 市民からは、「なるべく最小範囲での工事を」という質問や要望があり、森林管理局では、専門委員会で検討し説明していくとのことでした。

講演 ジオパーク 地形・地質を活用した地域振興

講師 独立行政法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 主任研究員 理学博士・日本ジオパーク委員会事務局 渡辺 真人(わたなべ まひと)氏

 日本ジオパーク委員会の事務局として、日本・世界の認定にかかわっている渡辺氏から、ジオパークの解説と各地の取り組み事例、認定基準などを解説してもらいました。
 特に印象的だったのは、荒砥沢地すべり跡など地質・地形で価値のある場所があればジオパークになれるのではなく、地質・地形から育(はぐく)まれた地域固有の文化をどうやってツーリズムに活用しているかが大事ということでした。

 今後、市ではジオパークを推進していくための組織を立ち上げ、そのメンバーを募集する予定です。

講演のポイント
  • 実はジオパークはどこにでもあり、多様性に富む日本列島には、同じ成り立ちの景観はない
  • ジオパークは人の話を聴きに行く場所
  • 伝統文化、食べ物も、地質や岩石、地形と関係がある
  • 特異な地質遺産は要らない、希少性・特異性コンテストではない
  • 一カ所の素晴しい地質遺産だけでは、ジオパークにならない
  • 荒砥沢以外にも、ジオパークに活用できる資源があるはず
  • 荒砥沢地すべり跡は、地元の人が納得して語り継げることが大切で、地質の価値の有無だけではない
  • 大事なのは、良いジオと良いストーリーを多くの人に見に来てもらい、滞在型のツーリズムを実現すること

リレー随筆 市民が綴る栗原の魅力

栗駒へやってきた

栗原市栗駒文字 馬渡 綾子(まわたり あやこ)さん
写真:馬渡 綾子さん

 生まれてすぐ父親の転勤で、ブラジルへ行き、小学生の終わりまで暮らしました。帰国してからは東京で育ち、結婚をして、三浦半島で暮らしていたころ、突然、主人が栗原へ行くと言いました。
 今は縁あって、栗駒文字で古民家を借りて住んでいます。
 話下手で、会話の苦手な私でも優しく迎え入れてくれる地域の人や、主人が所属しているくりこま高原自然学校のスタッフに支えられて、友達のいなかった土地で暮らすことができています。主人と二人きりでの生活だったら、逃げ出していたかもしれません(笑)。
 一昨年の春、文字の人たちの助けで、生まれて初めて米作りに挑戦しました。機械を使わず、代掻きから大勢の力で稲を大きくしました。
 味噌作りは、今年で3回目。大豆も「自分の畑で出来たものを使おう!」と思っていましたが、仕事に追われておろそかになり、毎年、いただく大豆を足しています。
 野菜作りにも挑戦し、毎年、地域の名人に教えられています。実際は、ご近所の方々からいただくほうが多いのが現状。
 何でも出来る地元の人を見て、かっこいいと思いました。
 栗原での生活は、東京での生活では考えられない、地域の人たちとの交流から育まれています。

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