• くりはら研究所だより第33号
  • 2009年8月16日(日曜日)発行

資源の魅力シリーズ1 奥州街道 その14

写真:有馬川沿いの通り

 昨年の5月から始まったシリーズ「奥州街道」も、いよいよ今回が最終回です。
 前回紹介した十万坂(じゅうまんさか)から有壁宿(ありかべしゅく)までは約2キロ、徒歩30分ほどの距離です。
 曲がりくねった県道を道なりに進むと、途中、「明治天皇御野立所(めいじてんのうおのだてしょ)」や「小桜清水(こざくらしみず)」があります。小桜清水付近から、いよいよ栗原市最北の宿場町「有壁宿」です。

 この宿場には、実際に明治天皇や諸大名が利用した旧有壁宿本陣があります。現在の有壁の町並みは、江戸時代につくられた宿場町と大正時代にJR東北本線の有壁駅を中心につくられた町が調和しています。
 この日は、東北本線の線路を渡ってから駅前に出て、有壁駅で小休止。駅から駅前の通りを眺めると、大きな倉庫や街道ファンに人気の旅館が見えます。小さくてレトロな店構えにひかれ、通りにある食堂で食事しました。お話を聴くと、昭和初期の創業だそうです。
 その後、有馬川(ありまがわ)沿いの道を本陣へ向けて歩き、本陣周辺をブラブラと歩いてみました。

写真:吊るされた杉玉

 道に面して藁縄(わらなわ)を作る工場があり、通りから作業の様子が見えます。
 有馬川にかかる橋の近くには、造り酒屋があります。杉玉(すぎだま)や赤レンガの煙突、大きな蔵があり、思わず覗き込んでしまいました。
 有馬川沿いの風景を楽しんでいると「昔はいっぱいカブトムシが採れたんだよ」と、本陣の南側にあるクヌギの大木を指差して、地元の人がニコニコと話してくれました。
 偶然出会った地元の人から思い出話を聴けたことで、自分だけが知っている、ちょっとした宝物を観(み)つけた気分になり、嬉(うれ)しくなりました。

写真:観音寺の前から南に向って眺めた有壁宿の町並み

 本陣から続く町並みは、宿場の風情が色濃く残っていて、しばらく眺めていたくなります。険しい峠道を抜けて宿場にたどり着いたら、もっと感動的に見えるのだろうと想像しました。
 宿場を後にしてしばらく進むと、「肘曲(ひじま)がり坂」という峠道に入ります。峠道を1.5キロほど歩くと、そこから先は岩手県一関市になり、更に2キロほどで一関市「鬼死骸(おにしがい)」に抜けます。
 約37キロにわたり市内を南北に縦断する栗原の奥州街道は、ここで終わりです。

 栗原の奥州街道は、宿場と宿場の間の道が比較的良好に残っていて歩けることや有壁宿を始め宿場町が往時の面影をとどめていることなどが、街道ファンから好まれているようです。
 さらに、あまり歴史に関心のない人でも、寄り道して路地裏の散策や買い物、食事、自然観察など、いろいろな楽しみ方をきっかけに、歴史資源の価値に触れることができるのではないでしょうか。
 そして、お店や道端で出会う地元の人から、道案内や思い出話を聴けるとより魅力も深まります。
 踏破(とうは)して達成感を味わったり、ゆっくり寄り道したり、街道歩きの楽しみ方は、奥が深いようです。

資源調査で観つけた小さな光

長屋門

写真:長屋門

 長屋門に注目するようになってから、市内を歩き回っていると、つい長屋門を探してしまいます。
 特に数が多いように見えるのは、一迫・栗駒文字・志波姫でしょうか。長屋門と一口にいっても、地域によって少しずつ特徴があるように感じます。
 例えば、栗駒文字の長屋門は、白壁と黒塗りの屋根、太い柱のコントラストが印象的で、お城のように豪華な造りが多いような気がします。一迫の長屋門は、細めの角材で作られた窓の格子が目を引き、赤や紺、緑など屋根の色がカラフルで、かわいらしい外観をしています。茅葺(かやぶき)屋根に土壁という、昔ながらの造りを大切にしているなぁと感じる長屋門が多いのは志波姫。
 興味をもつと、外観だけでもいろいろと面白い発見がありました。

写真:屋根の造り

 実際に、長屋門をじっくりと観せていただいたことが何度かありますが、くりはら磨き隊の隊員に案内してもらい、栗駒文字の長屋門を見学したときのこと。天井を見上げると、昔、養蚕(ようさん)で使っていた木箱や竹かごが中2階に残っていました。「昔は、おかいこ様と言ってね…」と、当時の様子を聴くことができました。ふんだんに木材を使っている重厚な屋根の造りに驚いたり、「へ」の字に曲がっている木をうまく組み合わせた大工さんの技術に感心したり、それが素敵なデザインに観えたり。
 暮らしの中に当たり前にある長屋門が、実は、多様な価値を持っているように思います。
 まずは、気にとめて長屋門を眺めてみてはどうでしょうか。人それぞれ、多様な見方で。何かおもしろい発見がありそうですね。

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