• くりはら研究所だより第32号
  • 2009年7月16日(木曜日)発行

資源の魅力シリーズ1 奥州街道 その13

写真:新鹿野一里塚の説明板。写真左側が一里塚

 前回紹介した金成宿から、栗原市最北の宿場「有壁宿」を目指します。
 金成宿から有壁宿までは8キロ、徒歩で2時間30分ほどの距離です。
 金成宿を抜けて国道4号を横断し、新町大橋という小さな橋を渡っていきます。ここから有壁宿までは、田んぼや森の間を進んでいきます。秋になると「ねじりぼんにょ」と地元の人々が呼ぶ、らせん状の美しい稲の棒掛けが見られるのもこのあたりからです。
 道を進むと、夜盗坂(やとうさか)とよばれる坂があります。ここから先は、篠竹(しのだけ)などに囲まれた山道なので、今回は回避して現在の道路を進み、東北自動車道の側道などを通りながら進みました。
写真:きつい上り坂の十万坂 田んぼのなかを進み、舗装された道に入ると新鹿野(しんかの)一里塚の説明板があり、茂みの奥が少しだけ盛り上がっています。これが、一里塚跡でしょうか。
 坂道を下り少し進むと再び上り坂道になります。起伏と奥行きのある美しい田園風景を見下ろせるので、新鹿野一里塚に着いたら一休みしてぜひ眺めてほしい風景です。
 坂を下りて比較的平らな田んぼの中の道路を進むと、十万坂(じゅうまんさか)の説明板があります。十万坂は、前九年の役で源義家がここで10万挺(ちょう)の弓矢を作ったのが由来です。登り口付近が民地になっているので一声かけて、東北新幹線・第一有壁トンネル南口左手付近から牧草地を過ぎ、再び舗装道に入ってから2キロ歩くと、いよいよ有壁宿です。

資源調査で観つけた小さな光

長屋門

写真:長屋門を調査したパネルを提供していただいた星野先生と学生の皆さん

 市外の方々から、栗原には長屋門が多いとねと言われます。
 東北職業能力開発大学校の星野政博先生と学生の皆さんが調査した資料によると、長屋門は江戸時代に諸大名が家臣を長屋に住まわせて、その一部に門を開いたものだそうです。その後、有力武士も家臣や使用人の居所として利用したそうです。
 栗原の長屋門の場合、農家が所有している場合がほとんど。イグネとよばれる屋敷林に囲まれて母屋と、土蔵や板倉、長屋門といった構成が多くあります。
 通史(町村史)には、一迫や栗駒などで長屋門の記述があります。昭和20年代ごろまで、長屋門の片方の部屋には、作男(さくおとこ)とよばれる使用人が農作業などをするために住み込みで働いていたそうです。
 養蚕(ようさん)が盛んだった昭和40年代ごろには、屋根裏で蚕(かいこ)を育てていたり、そのほか物置、牛や馬などの飼育、作業場など、家々の都合や時代にあわせて利用されてきたようです。
 長屋門は、建造物、景観としての魅力に加えて、地域の文化や風土を学ぶことができます。
 次号では、研究所が実際に訪れた長屋門を紹介しながら、じっくり観てみたいと思います。

【活動レポート】くりはら観光塾

高清水てくてく歩き

 普段見慣れている街並みを、奥州街道などの歴史資源に詳しいガイドの方と一緒にゆっくりと歩きながら、その魅力を体験しました。

  • 日時 6月13日(土)午前9時30分から午後1時30分
  • 場所 高清水地区(奥州街道高清水宿の周辺)
  • ガイド くりはら磨き隊 千葉進(すすむ)さん
  • 参加者 8人
写真:ガイドの千葉進さん

 当日は、あいにくの雨天。傘を差しながら、高清水総合支所をスタートして、路地や裏道といわれる生活道を中心に、旧奥州街道の県道を横断しながら、ガイドを担当した千葉さんの案内で歩きました。
 千葉さんから、歩いた場所にまつわる町の歴史の説明を聞きながら、民家の塀や畑などに囲まれた細い路地を進みました。太い根が露出している大きなケヤキの木に驚いたり、昔ながらの万能かまどや大きな釜神様があるお宅の台所を見学したり、地元の名物のお菓子屋さんに立ち寄ったり。普段、地元の人々には見慣れた光景も新鮮で感動できるものがあり、また、奥州街道などの歴史的な背景を学ぶことで、その魅力が深まりました。

写真:路地裏を歩く参加者

 予定していたコースの半分位で雨が強くなったので、後半は自動車での移動になりましたが、参加者からは「新鮮だった」「路地裏は発見の宝庫」などの感想が聞かれ、街歩きの魅力を感じてもらえたようです。
 くりはら観光塾では、今回のように資源の魅力を紹介するフィールドワークや講師を招いた勉強会などを企画する予定です。開催の都度、お知らせしますので、ご参加ください。

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【活動レポート】観光活動支援

地域の特徴を生かした活動を支援

 くりはら研究所では、「観光活動支援」という事業に取り組んでいます。「こんな企画を考えているけれど・・・」といった市民の皆さんから相談を受けて、一緒に企画を考えたり、アドバイスをしたりする活動です。

写真:魚を手づかみ体験する児童たち

 今回は、たくさんの事例の中の一つを紹介します。
 若柳の大岡小学校の先生から、小学校2・3年生の児童が伊豆沼のことを学ぶ総合学習を企画していて、その内容をどうするかという相談でした。
 研究所が提案したのは、伊豆沼で漁業体験。漁師さんとの交流を通じて、魚にさわったり、水の匂いや漁船の音を感じてもらえる体験を提案しました。

 伊豆沼漁業協同組合の漁師さんの協力で、定置網にかかった魚をみせてもらった子ども達は、「手がヌメヌメする」「つかめた」と大騒ぎ。生きている魚に直接手を触れて、感触や匂いを感じることは、とても新鮮な体験になったようです。
 漁師さんや伊豆沼・内沼環境保全財団の研究員から、コイ・フナ・ウナギ・タナゴなど、伊豆沼に生息しているたくさんの種類の魚の特徴を教えてもらうことができたようです。
 農業のイメージが強い栗原ですが、伊豆沼と内沼の漁業は地域の特徴の一つといえます。地域の産業や文化に光をあてる、こうした活動も観光です。

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