• くりはら研究所だより第24号
  • 2008年11月14日(金曜日)発行

資源の魅力シリーズ1 奥州街道 その6

写真:築館坂下集会所の脇が奥州街道

 「赤緒の草履」がある赤坂山神社から北に向かい、細い坂道を上ると国道4号に出ます。国道4号をしばらく北上して、栗原市役所南側に一部残っている細道を進むと、市役所の裏で旧国道4号に合流します。その合流地点の正面に見える山が「杉薬師」とよばれる薬師山です。
 「赤坂」から「杉薬師」までは約1.5キロメートル、徒歩で約25分です。
 「杉薬師」の参道を上ると目に入るのが、何本も並ぶ大きくて太い杉の木。木洩れ日のつくる幻想的な雰囲気と、この木々が見守ってきた時の流れに思いを馳せながら、しばらく立ち止まってしまいました。木にそっと手をあてて見上げると、その大きさが肌を通じて一層感じられます。

写真:杉薬師の参道

 さらに参道を進むと、「みたらせの池」の伝説を書いた看板がありました。昔、薬師山が火事になり、お堂が次々と燃えた際、「みたらせの池」のタニシが薬師如来坐像にたくさん覆いかぶさり、火から守りました。それ以来、栗原の人々はタニシを食用にしなくなったというお話です。また、眼病になると年齢の数だけタニシを「みたらせの池」に放して、清水で目を洗ったということも書いてありました。
 今回はなかなか前に進めず、薬師山編は次回も続きます。
 踏破するのも街道の楽しみですが、こうして街道沿いの資源にじっくりと向き合う贅沢な時間の使い方もまた楽しいと感じました。

資源調査で観つけた小さな光

干し柿

写真:干し柿

 秋も深まり、冬の気配が感じられる季節。東京の大学生が栗原を訪れました。市内のとある家庭に宿泊させてもらい、ご家族と一緒に柿の木から実を採る作業をしました。その際に、おばあさんが去年作った干し柿をご馳走してくれました。
 真っ白に粉を吹き、中はやわらかくて熟成された深い味わい、のどがイガイガするほどの強い甘味。学生達はその白い粉を「砂糖がまぶしてある」と思ったらしく、干し柿そのものの糖分であることを説明すると驚いていました。
 おばあさんによると、木の葉が落ちたころに柿の実を収穫して皮をむき、吊るしてほどよく乾燥させた後、ワラに包んでねかせ、その後、保存していたそうです。「ほどよく乾燥」の見極めなど、おばあさんが長年培ったノウハウがギッシリ詰まった干し柿でした。
 この季節、栗原のあちこちで立派に実った渋柿の木を見ることができます。最近では収穫しないで、実をつけたままの木も多くあります。
 渋柿は干す以外にも、焼酎やワラ、もみ殻などで渋味を抜く方法があります。柿の種類や住宅の条件なども含めて、家々で渋抜きの方法は様々。独自のノウハウをもつ人が、その数だけいるということですね。
軒下や板倉、下屋に吊るされた干し柿のある景観は、代表的な農村景観の一つとして人々の目を引きます。何よりも、渋味のある柿を甘くしてしまうワザには改めて感心させられます。
 栗原の日常にあるものが、外から来た人にとっては珍しくてどこか懐かしいもの、それが地域の光になるのではないでしょうか。

活動レポート

地域資源を活用した「くりはらツーリズム」の実現に向けて

画像:活動レポートのロゴ

 くりはら研究所では、地域資源を調査しながら、その資源を生かしたツーリズムの実現を目指して、各種事業を展開しています。これまでに実施した主な事業を紹介します。
 

モニターツアー

 3回のツアーを実施し、1・2回目は街歩きをテーマにして、若柳・築館の街中を少人数で散策しました。
 小さなモノづくり現場や昔から続く互市、古くて洒落た建造物など、ゆっくりと歩くことで魅力に出会えました。地域の人々の暮らしから、歴史を学ぶこともできます。
 少人数の小さな旅にピッタリの資源ではないでしょうか。
 3回目は、身近にある自然を観察して楽しむことをテーマにして、温泉ビューティ研究家・気候療法士の石井宏子さんを講師に迎えて、自然散策を楽しみました。圧倒的なスケールの大自然だけではなく、身近にある植物も良く観ることで、魅力的な資源になります。
 モニターツアーでは、まずは市民の皆さんに資源の魅力を再発見してもらい、参加者の感想から、その資源の活用を研究しています。
 今回の3回のツアーで、栗原では魅力のある小さな旅が実現できる可能性を感じましたが、資源に詳しい地元市民の協力がさらに必要です。

モニターツアー第1弾「小さなモノづくり発見の旅」
写真:粉店で製粉作業を見学
  • 開催日 2008年10月2日(木曜日)、10月3日(金曜日)

 2回の開催で5名ずつの参加者。若柳の小さなモノづくり現場を訪ねながら、商店の人々とのふれあいを楽しみました。

モニターツアー第2弾「お薬師様の互市と街歩き」
写真:互市で買い物をする参加者
  • 開催日 2008年10月9日(木曜日)

 お薬師様(杉薬師)の縁日に昔から開かれている互市を中心に、詩人・白鳥省吾の記念館などを見学。互市では、店主との粋なやりとりを楽しみました。

モニターツアー第3弾「気候療法士と歩く 自然観察ウォーキング」
写真:紅葉の雑木林の中を歩く参加者
  • 開催日 2008年11月5日(水曜日)

 築館いこいの森をフィールドにして、身近にある自然を散策しました。参加者は14人。いこいの森は、美しい紅葉、秋に咲く小さな花、落ち葉のじゅうたんなど、自然を気軽に楽しめる資源でした。

写真展「栗原の魅力」巡回展示
写真:巡回展示志波姫展の様子

 資源を観る視点を市民の皆さんと共有するために、くりはら研究所が2006年度(平成18年度)から2007年度(平成19年度)に資源調査で撮影した写真を展示しました。
 「栗原の魅力」は、私たちのすぐそば、身近にあるものなのです。

 開催日 2008年4月から11月まで11カ所を巡回
 故麦屋弥生氏の監修で、100点を展示しました。

地域づくりインターン事業
写真:サツマイモの収穫、大豆採りの作業を体験する学生

 都会に住む大学生を対象に、地方の暮らしを体験するツアーを実施しました。国土交通省の事業で、8月に18日間の日程で予定していましたが、地震のため受入を中止しました。今回は、市独自事業で5日間、延べ5人の若者が民泊しながら、市内の散策や農産物の収穫を体験しました。
 栗原の人々の暮らしそのものが、都会の若者には新鮮な体験になりました。


 開催日 2008年10月31日(金曜日)から11月5日(水曜日)
 民泊先で渋柿やサツマイモの収穫、民泊先の周辺散策や近所のお宅で大豆を採る作業などをお手伝いしました。

くりはら研究所だよりPDF版

次のリンクから『くりはら研究所だより』のPDF版をダウンロードできます。

くりはら研究所だよりPDF版のダウンロード