• くりはら研究所だより第42号
  • 2010年5月16日(日曜日)発行

【活動レポート】長屋門調査

迫川・二迫川の流域に多く分布

 平成21年10月から進めていた調査で、市内には543棟の長屋門があることが分かりました。

写真:調査の様子

 この調査は、国の緊急雇用創出事業交付金を活用して、市内にある長屋門の所在や建物の状況を調べたものです。実際の調査は、市が委託したNPO法人が行いました。
 調査は、各行政区の行政区長に情報を提供していただき、それをもとにして、調査員が長屋門を所有するお宅を訪問して、位置を地図に記載しました。また、外観の写真を撮影したほか、多くの所有者の方々から建築時期や用途などの話を聴きました。
 調査した結果、市内には543棟の長屋門があり、一迫、志波姫や栗駒文字周辺など、迫川・二迫川流域に多く分布していることが分かりました。旧栗駒町ほかが発行した『昔のくらし―栗駒町の生活誌』には、栗駒地域(旧栗駒村)では、駒形根神社の信仰から長屋門を建てられない慣習があったと記載されています。地図を見ると、三迫川流域には確かに長屋門が見当たりません。

写真:市内には、長屋門が数軒並んでいるところがあります

 建築時期は、江戸時代末期から明治にかけて建てられたものが多く、長屋門とあわせてイグネ(屋敷林)に囲まれた母屋と土蔵や板倉をもつ構成が多くみられます。
 通史には、長屋門の記述があります。昭和20年代ごろ、片方の部屋には作男と呼ばれる使用人が住み込みで働き、もう片方の部屋は屋根裏で蚕を育てたり、牛馬の飼育や物置、作業場などに利用していたようです。
 ある所有者は、周りの景観や住居との調和を重視しながら修復を続けているとおっしゃっていました。
 くりはら研究所ではこの調査を踏まえて、長屋門と市民の生活や生
業との関係などを調べていき、本質的な価値を見出して、まちづくりへの生かし方を研究していきます。

市内の長屋門の棟数 543棟

築館31棟 若柳63棟 栗駒108棟 高清水6棟 一迫129棟
瀬峰17棟 鶯沢19棟 金成52棟 志波姫113棟 花山5棟

資源調査で観つけた小さな光

[春の草摘み]

写真:ヨモギをすりつぶしている様子

 雪が消え、野草が芽吹くころになると、ヨモギの育ち具合が気になりだします。毎年摘みに行く秘密の場所は、木々が風をさえぎってくれて、日当たりの良い斜面です。
 ヨモギの新芽はとてもやわらかで、葉の裏には、ふわふわとした白く短い産毛があります。葉は大きく裂けていて、キクの仲間なのが分かります。少し触っただけで、鼻がスーとするようなさわやかな香りが漂ってきます。
 夢中になって摘み取っていると、初めは少し肌寒かった体も温まってきました。
 ヨモギは別名「モチグサ」のとおり、餅につきこんで草餅にするのが代表的な食べ方。摘み取ったばかりのヨモギをよく洗い、重曹を入れた熱湯で湯がきます。冷水にとってアクを取り除いてかたくしぼり、包丁でよくたたいてから、すり鉢で丁寧にすります。思ったよりも繊維がしっかりしているので、この作業はなかなか重労働です。
 こうして手間をかけて作った草餅はとりわけおいしいもの。米つぶが少し残っていても、気にしない気にしない。
 ほのかな苦味のある、鮮やかな緑色の餅を食べると、春の訪れに心が躍ります。そうそう、直売所で買った青ばたきな粉をまぶすと、香ばしさも加わって格別です。
 自分だけではもったいないと、おとなりにも少しおすそ分け。毎年恒例の早春の楽しみです。

リレー随筆

『広い縁側でみそづくりを楽しむ春のひととき』

くりはら輝かせ隊(仙台市) 足立 千佳子(あだち ちかこ)さん
写真:足立さん

「今年もよろしく!」「お子さん大きくなったねー」
 3月の最後の日曜日に若柳の農家民宿「有賀の里たかまった」さんに集まり、みそづくりを始めて4年目になります。
 もともとは仙台のNPOが実施する「手づくりみそ講座」の講師として「たかまった」の女将である千葉静子さんに仙台に来ていただいていました。が、仙台市内で実施するには、大きな鍋がない、みそをつぶすのはそれぞれの家庭から持ち寄ったすり鉢で…。朝から夕方まで作業をしてクタクタという状況に、静子さんが「ウチの縁側でやったら?」と。

写真:豆をつぶす作業の様子

 参加者はNPO関係者とたかまったの常連のお客様。毎年みそづくりを楽しみにしているリピーターさん達が仙台などからやってきます。
 最初の頃は豆一斗、麹一斗、と言われてもそれが何キロ???とチンプンカンプンだったのですが、回を重ねるにつれ、要領もよくなり、今では煮豆、麹をちゃんと量り、豆つぶし機でつぶします。座敷と縁側にブルーシートを敷き、座敷では「量り方」と「合わせ方」。縁側ではひたすら豆をつぶす…。豆つぶし機の使い方も堂に入ったものです。
 一段落すると、みんな楽しみにしているお昼ご飯。今回はお餅バイキング。雑煮、あんこ、きな粉、エビ、ばっけ(フキノトウ)、納豆…。「若柳ではあんこ餅を一番最初に食べるんだよ」との話にデザートとして最後にとっていた一同はびっくり。

写真:麹を合わせる作業の様子

 昔はみそ玉を作ってみそ蔵で乾かしてそれぞれの家の「菌」で味が決まるという話も聞きますが、私たちのおみそもみんなのがんばった思い、若柳の美味しいお米とお豆が混ざり合って、美味しいおみそになること間違いなし! それぞれの家庭で熟成させたおみそを食べるとき、今日の光景、お昼を食べながら目にした遥か広がる金成耕土の懐の広さに思いを馳せることでしょう。毎年ここで集まり、一年間のおみそを仕込む。新しい形の町の人たちの「結い」なのかもしれません。

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