• くりはら研究所だより第27号
  • 2009年2月16日(月曜日)発行

産業観光ワークショップin栗原

産業観光で紡ぐ小さな旅

【全体日程]

  • モニターツアー 1月30日(金曜日)午前9時30分から午後5時
  • 交流会 1月30日(金曜日)午後6時から8時
  • フォーラム 1月31日(土曜日)午前9時30分から午後0時30分
産業観光とくりはらツーリズム

 栗原市の産業観光は、基幹産業である農業を中心に培われてきた人々の暮らしから、この地域の文化や風土、ひいては農山村の魅力を感じてもらう「くりはらツーリズム」の確立を目指しています。
 「くりはらツーリズム」は、おおらかに流れる「くりはら時間」にあわせて、少人数でゆっくりと感性を研ぎ澄ませながら、地域住民と触れ合う旅です。
 今回は、農業を基幹として育まれた“マチ”に視点をあてて、昔から続く小さなモノづくり現場を中心に、近代化産業遺産「くりはら田園鉄道」の貴重な車輌や工作機械などのある本社及び駅舎など、商人のマチ若柳の街歩きをモニターツアーのコースにしました。
 フォーラムでは、今回のモニターツアーや「くりはら田園観光都市創造事業」の取組みを題材にして、講演・パネルディスカッションを実施しました。

産業観光とは

 産業観光とは、歴史的・文化的価値のある産業文化財、生産現場及び産業製品を観光資源とし、それらを通じてものづくりの心に触れるとともに、人的交流を促進する観光活動をいう。

産業観光ワークショップとは

 産業観光ワークショップは、地域の活動に自信と誇りをもってもらい、また外部の人々との交流を通じて今後の方向性を考えていく場を提供することを目的に、全国産業観光推進協議会(事務局:社団法人日本観光協会)が各地域と協力して実施しているものです。今回、全国産業観光推進協議会から、岩手・宮城内陸地震で被害の大きかった栗原市の元気再生のためにと栗原市に声がかかり、「産業観光ワークショップin栗原」を開催しました。

モニターツアー

 モニターツアーでは、両コースともにくりはら磨き隊のメンバーがツアー参加者を案内しました。ツアー参加者からは、ガイドの温かい人柄が感じられたと好評でした。お菓子屋やパン屋にも立ち寄り、参加者に街歩きを楽しんでもらえたようです。

【コース1】職人のマチと近代化産業遺産
写真:コース1で、若柳の下町商店街を視察するモニターの皆さん
  • モニター 6人
  • ガイド くりはら磨き隊3人
  • コース 兵藤最中皮店→菅野のこ店→昼食→くりはら田園鉄道本社及び若柳駅舎跡→その他、街中散策→マガンのねぐら入り
【コース2】小さなモノづくり発見 コース2で、イグサの香りに包まれながら真剣にミニ畳づくり体験
  • モニター 8人
  • モニターガイド くりはら磨き隊2人
  • コース 若柳地織・千葉孝機業場→千田粉店→昼食→只見工業所(ミニ畳づくり体験)→その他、街中散策→マガンのねぐら入り
フォーラム

写真:講師の須田寛氏

講演 くりはら田園観光都市にみる「新しい観光」の展開
講師 全国産業観光推進協議会副会長 須田 寛 氏

 産業観光の第一人者の須田氏から栗原市の観光は、1 産業観光(ものづくり観光)、2 街道観光(みちの観光)、3 田園観光都市(田園景観)、4 ニューツーリズム(従来と違った観点の観光)の4つのテーマで、総合観光地を目指せるもの。今後の課題として、観光はまちづくりであることを念頭に、市民が観光する心をもって、観光の糸を紡いていけば一枚の布にできると励ましの言葉をいだきました。

パネルディスカッション
基幹産業である農業を生かした「くりはらツーリズム」の確立にむけて

写真:パネルディスカッションの様子

コーディネーター (社)日本観光協会常務理事 丁野 朗 氏
パネリスト 多摩大学大学院教授 望月 照彦 氏
パネリスト 温泉ビューティ研究家 石井 宏子 氏
パネリスト くりはら磨き隊 千葉 進 氏
パネリスト (有)只見工業所 常務取締役 只見 直美 氏

 基幹産業である農業を生かした「くりはらツーリズム」の確立に向けてをテーマにディスカッションしていただきました。

  • 21世紀は田園の時代、栗原はコミュニティの原型、地域の自立のモデルになる(望月氏)

  • 栗原は五感、感性を刺激する、なぜかまた訪れたくなる人の魅力がある、栗原中毒になる(石井氏)

  • 昔からずっと続いている城館などの資源がある、くりでんは終わりではなく始まりである(千葉氏)

  • お客さんから教わることが多い、栗原の底力に気付かせてくれたのは外部の人、まずは気付くことが第一歩(只見氏)

  • 紡ぐ糸の整理が必要、観光を市民運動にどう広めるのかが課題(丁野氏)

交流会
郷土料理がズラリ“食”で交流会

写真:郷土料理がズラリ、食で交流会

  • 参加者 49人
  • 会場 割烹千鳥

 受入に協力した市民やモニターツアー参加者が参加した交流会では、餅を始め、味付けご飯や漬物、はっと、そばだんごなど郷土料理がたくさん並びました。
 食も旅には欠かせない大切な魅力です。

資源調査で観つけた小さな光

旅人の視点から

 東京のとある下町を歩く機会がありました。手作りのおせんべいの店が目的地。
 駅を出て、人通りの多い大通りから一本入った路地を歩くと、お菓子屋や弁当屋、肉屋などが並んでいました。どのお店も小さくて、店先いっぱいに商品が並び、カウンターの奥で調理している様子が見られました。目的のせんべい屋では、店の奥から醤油の香ばしい匂いがしてきました。お母さんと一緒に店に来た5歳ぐらいの子供が、たくさんの種類の中から「まぁるいの」と言って、2枚のおせんべいを買ってもらっていました。
 商店街とまでは言えない、もっと小さいマチで、行きかう人々のあいさつの様子、調理する香りなど、素敵な光景に出会うことができました。
 観光は「非日常」ということをよく聞きますが、東京の下町に住む人々の日常が、非日常の光景に見えてとても新鮮でした。整然とした東京のオフィス街が夕闇に包まれていく光景もまた、自然に囲まれた土地とは違った美しさを感じます。
 それでは逆に、都会の人々にとっての非日常とは? 例えば、目に入りきれない位の大きな田んぼ、群れをなして飛ぶガンの群れ、大きな農家の家、春になれば代かきをする農業機械とその音… 栗原の日常の光景がそうなのかと感じます。さらに、もっと楽しむなら、地元の人との会話や日常生活に直接触れることなのだと思います。どこも同じような風景がある日本ですが、地域によって少しずつ違う暮らしや方言、食、風習などの特徴を見聞・体験すること、異文化に触れることが非日常であり、旅の楽しみにつながるのではないでしょうか。
 栗原の資源とは、ここに住む私たちの暮らしであり、足元を良く観ると「観光のモト」がたくさんあります。栗原では、観せるための仕組みづくりが必要ですが、まずは、私たち市民が足元にある資源に気付き、良く観ること、小さな一歩から始めましょう。

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