• くりはら研究所だより第79号
  • 2013年9月1日(日曜日)発行

シリーズ ジオパーク3.

栗駒山麓ジオパーク推進協議会設立記念講演会

シリーズジオパークロゴ

7月7日(日曜日)/エポカ21 清流の間

 

「栗駒山麓ジオパーク推進協議会」の設立を記念し、日本ジオパーク委員会 中田 節也 氏(東京大学地震研究所教授)から「ジオパークと自然災害 "先行ジオパークの例"」をテーマに講演いただきました。講演内容を紹介します。

ジオパークとは何か?
  1. 画像:世界ジオパークの認定にも関わってきた中田節也氏特定の地形・地質遺産を含み持続的発展を目指す地域
     ジオパークは、その名称から公園と思われがちですが、その地域に住む人がどれだけ自分の地域にプライドを持ち、自慢できるか、その生き生きと活動している場所を指します。さらに、非常に貴重な地形・地質遺産を含んで発展を目指す地域で、精神的・経済的にも潤い発展させるような仕組みがジオパークです。
  2. 地形・地質サイトに加え、考古学、生態学、歴史、文化を含む
     「ジオ」なので地形・地質ですが、そのほかに考古学・生態学・歴史・文化も含みます。栗原で印象的だったのは長屋門です。長屋門は歴史・文化そのものであり、ジオサイトとして宣伝できます。栗原の大地・地質を利用して生活を営み、文化が芽生えてきたという、まさにジオパークの見せどころになると思います。
火山防災とジオパーク

 防災教育について、火山を例にしますと、「噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針」を内閣府が平成20年に示し、その中に3つの要素があります。実はこの指針がジオパークの理念と非常に一致します。これら3つの要素はジオパークにおける防災教育・防災活動そのものです。

  1. 観光客への普及啓発
    ジオパークを普及啓発させるには、観光客への情報提供が必要です。観光事業者と連携し、観光コースや観光プログラムにおいて自然を楽しみながら災害を教えます。
  2. 観光事業者の役割
    日ごろから防災マップを作り、避難行動のとり方を理解します。実際に災害が起きたときには避難誘導を行います。また観光協会などと連携し、日ごろから啓発事業を展開します。
  3. 観光ガイドなどの人材育成
    ジオパークではジオガイドは欠かせません。だからこそ、ジオガイドの育成が必要です。
栗原の地質について

 栗原の地質図を見ると、約1,500万年前の火山で出来たものが岩盤になり、さらに新しい火山活動で出来たものが覆っています。地質図を見て火山ジオパークではないかと思いました。地質図に地すべり地形を重ねてみると、こんなにも地すべりが多いところかと驚きました。言い換えると、地すべりが起こりやすい場所だからこそ軟らかい地層で水はけが良く、山麓部では美味しい農作物が育ち、平野部では地すべりで落ちた土砂、はんらんがもたらした泥の恵みで田畑が広がったということが言えます。このことは、栗原のジオパークとしての強みになると思います。

防災へのとりくみ

 防災教育だけならジオパークにならなくても出来ます。防災教育・自然災害だけを前面に出し過ぎるとあまり面白くなく長続きしません。そして次第に客足が遠のきます。これはうまく自然を見せることが重要で、ジオツアーを活用して自然災害の起こる仕組みを現場で教えることが大切です。そして私たちは自然からこれだけ恵みを受けているという事実もきちんと伝えないといけません。

ジオパークは人

参加者から多くの意見が出されました

 よく「ジオパークは人である」と言われます。地域の人たちが元気になり、経済的にも潤う。その構成要素がまず人で、重要なのは中心になって働く人の存在です。いかにジオパーク活動に人が参加するか、一緒に盛り上げていく機運があるかどうかが、ジオパークが持続するかどうかの重要なポイントとなります。

【活動レポート】第13回くりはら長屋門研究会

”栗駒山麓ジオパーク構想と長屋門”

7月24日(水)/志波姫 この花さくや姫プラザ

東北職業能力開発大学校の星野 政博氏と学生1名の参加をいただき、前回に引き続き栗駒山麓ジオパーク構想と長屋門を繋ぐジオストーリーについて話し合いました。

地区ごとの長屋門の特徴について意見を出し合う研究員

 ジオパークは大地そのものを活用し、発展していった人々の暮らしを見せることです。その中で大地の恵みを受けながら長屋門が発展してきた背景について、研究員からは、「街道があることで人・物・金が流通し、地域の文化が形成されたこと」、「大きな3本の川がこの肥沃な大地を形成して農業が栄えたこと」、「長屋門を持つ農家は地域の中心的な役割を担うことが多く、災害に遭わない安定した場所に家を構えたこと」、「堰が作られたことにより下流域が安定し、
農地や集落の発展につながった」など、さまざまな視点から意見が出されました。肥沃な大地が栗原市の産業を支えています
 栗駒山から流れ出る清らかな水と肥沃な大地の恩恵を受けながら育まれてきた人々の暮らしの中で、その時代の歴史を物語る遺産として長屋門というすばらしい資源が栗原にはたくさん残されており、特に明治時代以降に農業の繁栄を築いてきたのが長屋門の文化でもあります。
 環境や時代の変化に合わせ、長屋門の使い方も変化しながら、今もなお500件以上残っていること自体が魅力であり、そこには先人の想いが大切に息づいており、幾多の災害とともに歩んできた人々の営みを知ることができる、まさに地域の歴史・文化の象徴的建造物が長屋門です。
 

今も凛とたたずむ長屋門

 今後もジオサイトとしての活用を視野に入れながらジオパークと長屋門を関連づけるための調査研究を行っていくとともに、これまで研究員から出された意見の中には、まだ仮説や想像的な意見もあることから、それらを裏付けるための調査についても合わせて行っていきたいと考えています。

 

栗駒山麓ジオパーク推進協議会からのお知らせ

 栗駒山麓ジオパーク推進協議会(事務局 田園観光課)は、平成20年岩手・宮城内陸地震で生じた栗駒山麓崩落地の地形・景観という新たな資源や伊豆沼・内沼などの既存の資源など、さまざまな資源を結びつけ、防災教育や学術研究、観光に活用し、ジオパーク認定を目指しながら、地域が活性化することを目的としています。
 今回は、次のとおり栗駒山麓ジオガイド養成講座(初級)と出前講座の開催についてお知らせします。

受講者募集 平成25年度栗駒山麓ジオガイド養成講座(初級)

 この講座は、ジオパークの魅力を来訪者に伝えるジオガイドを養成するため、栗駒山麓ジオガイド養成講座(初級)を全8回の予定で開催しています。
9月の講座は下記のとおり開催します。今回からの参加も歓迎ですので、興味のある方はぜひ申し込みください。

【第4回講座】

  • 日時 9月12日(木曜日)午後7時から9時
  • 場所 市民活動支援センター
  • 内容 ガイドとしての基礎知識について
  • 講師 多世代はうす文字倶楽部 代表 馬渡 達也 氏
  • 申し込み 事務局まで電話で申し込みください

募集 出前講座を開催しています

 「ジオパークってなに?」、「ジオパークってどんなことをやるの?」など、地域の皆さんの疑問にお答えし、ご意見をいただきながら進めていくため、下記のとおり出前講座を開催しています。
 少人数のグループから対応しますので、希望があれば事務局まで申し込みください。

【栗駒山麓ジオパーク構想・出前講座】

  • 対象 学校や会社、団体、サークルなどおおむね5人以上ならどなたでも対象です。
  • 講座時間 60分コースまたは90分コース
  • 申し込み 事務局まで電話で申し込みください

 ※日時や場所など、詳しくは相談してください

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