• くりはら研究所だより第77号
  • 2013年7月1日(月曜日)発行

シリーズ ジオパーク1.

「栗駒山麓ジオパーク構想」本格始動します 

画像:シリーズジオパークロゴ

 今号から、各地のジオパークや栗駒山麓ジオパーク構想の取り組みなどを紹介するシリーズ「ジオパーク」を連載します。

「ジオパーク」をご存知ですか?

世界ジオパーク認定地糸魚川ジオパーク(写真:高浪の池と明星山) ジオ(geo)とは「地球」や「大地」を意味し、これと「公園」のパーク(park)を組み合わせて、ジオパークという言葉が生まれました。では、地球・大地の公園とはどのような場所なのでしょうか。
 「ジオ」というと地質学的で難しいイメージを抱いてしまう方も多いかもしれません。

 しかし、ジオパークとは地質学的に優れた場所だけではなく、歴史や文化、生態系、景観など、自然や人間と地質とのかかわりの観点から優れた場所も対象になります。
 栗原市には、栗駒山や伊豆沼・内沼など優れた場所が数多くあります。このような場所がいったいどのようにしてできたのか、不思議に思ったことはありませんか。

 楽しみながら、その中心にある地球・大地について考えるきっかけをくれる場所、それがジオパークです。

あっという間に広がった日本のジオパーク

栗原市には魅力あふれるジオ資源が沢山あります(写真:伊豆沼) ジオパークにはユネスコが支援する「世界ジオパーク」と、日本ジオパーク委員会が認定する「日本ジオパーク」があります。
 現在、日本ジオパークには25地域が認定され、そのうち新潟県糸魚川をはじめとした5地域が世界ジオパークに認定されています。東北では「男鹿半島・大潟」、「八峰白神」、「ゆざわ」(以上、秋田県)と「磐梯山」(福島県)の4つの地域が日本ジオパークに認定されています。
 また、認定を目指して活動している地域は栗原市を含め18地域で、東北では「三陸」や「蔵王」、「下北半島」が活動しています。

栗駒山麓ジオパーク構想が目指す姿

栗原市に隣接する秋田県湯沢市は、昨年日本ジオパークに認定(写真:川原毛地獄) 市では、市民と行政が一体となり、地域資源を生かした活力豊かな観光産業の育成を進めてきました。そのさなか、栗駒山麓で発生した平成20年岩手・宮城内陸地震では、最大震度6強を観測。日本最大級の荒砥沢ダム上流部地すべりを初めとした未曽有の山地災害を引き起こし、甚大な被害を受けました。
 しかし、災害実体の調査が進むにつれて、数千万年から数万年という時間の中で生じる火山活動や地震、地すべり活動こそが地域の自然を育む原動力であり、私たちはその恵みを受けていることを知ることとなりました。
 奥羽山脈の中核ともいえる栗駒山麓では、災害に対する普段の備えを強くし、このような地質変動が生み出す多様で豊かな自然を賢く利用して生きていく必要性があります。
 栗駒山麓ジオパーク構想は、震災で生じた崩落地の地形・景観を防災教育、学術研究、観光など多目的に活用し、既存の観光資源と結び付けながら、ジオパークを目指して活動することで、「災害に強い人づくり・地域づくり」の推進していきます。

官民一体となった推進事業を本格始動

画像:栗駒山麓崩落地は防災教育への貢献が期待できます ジオパークを目指して活動を本格化するために、行政、地域、民間が一体となって行動する組織として、7月7日に、「栗駒山麓ジオパーク推進協議会」を設立します。

 今後は、協議会が中心となって、ガイド養成、ジオツーリズムなど、ジオパーク認定に向けたさまざまな事業を展開していきます。

【募集】栗駒山麓ジオパーク推進協議会設立記念講演会を開催します

 栗駒山麓ジオパーク推進協議会設立を記念し、市内のジオパークに対する機運を高め、より多くの方にジオパークを理解してもらうことを目的に記念講演会を開催します。
 これまでのジオパークの歩みや今後の展望、自然災害とジオパークとのかかわりなどについて講演をいただきます。
 ジオパーク認定を目指して活動していくためには、市民の皆さんのジオパークに対する理解と協力、盛り上がりが不可欠です。
 参加費は無料ですので、ぜひ参加ください。

  • 日時 7月7日(日曜日)午後3時から4時30分
  • 場所 エポカ21 清流の間
  • 基調講演 「ジオパークと自然災害”先行ジオパークの例”」
  • 講師 日本ジオパーク委員会委員(東京大学地震研究所教授) 中田 節也 氏
  • 講演 「ジオパークの目指すもの」
  • 講師 日本ジオパークネットワーク事務局長 齊藤 清一氏
  • 定員 150人(先着順)
  • 申し込み 7月5日(金曜日)まで、くりはら研究所に電話で申し込みください
日本ジオパーク委員会委員 中田 節也 氏

画像:日本ジオパークネットワーク委員会委員 中田節也氏1952年富山県生まれ。金沢、福岡で学生時代を過ごした。
1995年から東京大学地震研究所に勤務(現在、教授)。専門は火山地質学。雲仙普賢岳噴火や新燃岳噴火などの研究がある。普賢岳災害記念館の監修。アニメ映画「グルコーブドリの伝記」(2012上映)の科学監修。
2008年から日本ジオパーク委員会委員、第5回ジオパーク国際ユネスコ会議の実行委員長を務める。
2011年から世界ジオパークネットワーク・アドバイザー。 

リレー随筆

出会い

佐藤 貢さん/栗駒八日町

画像:佐藤 貢さん

 私が栗駒山に魅せられたのは、約40年前に遡ります。
 当時、栗原電鉄に入社した私は、山岳部の先輩から「山へ行く時は、ポケットにキャラメルやキャンデーを持っていくんだよ。」と言われ、最初は何でなのか、さっぱり意味が分からなかったのです。ところが、山へ行く途中、耕英十字路付近で多くの子供たちが私たちのそばへ寄ってきたのです。その時、「ああ、先輩が話していたことは、このことか。」と気付き、あの子供たちの笑顔と何度も私の方を振り返りながら、頭を下げたり、手を振ったりしている光景が忘れられないものとなったのです。それが、この栗駒山との出会いとなりました。  
 それ以来、私は何度も栗駒山を訪れ、あるときは厳しく静かに、あるときは可憐に愛らしく、そして華麗に、重厚に、四季折々の変化に富んだ山の表情に魅せられ、現在まで写真を撮り続けてきました。
 そして、二度の震災で、栗駒山を訪れる人々が激減した昨今、山に賑わいを取り戻すために、少しでも役に立ちたいと、写真展の開催を決意しました。
 写真の一枚に、岩場に咲いている一輪の花があります。健気で可憐な美しさに目を魅かれると同時に、厳しい自然の中で必死に生きようとしている姿に心を打たれ、どんなにつらいことがあっても、また頑張ろうと生きる力が湧いてきます。
 このような写真を通して、地域の人々や観光客の方々に笑顔になってほしいと思っています。
 最後に、この写真との出会いをきっかけに多くの方が栗駒山を訪れ、再び「栗駒山に活気と元気」が戻ってくることを心から願っています。

※佐藤貢さんの写真展「栗駒山讃歌」は、6月8日~16日に栗原文化会館を会場に開催されました。今後もくりこま高原駅等を会場に開催される予定です

画像:佐藤貢さんの写真画像:佐藤貢さんの写真

「くりはら研究所だより」のPDFファイルを確認する

 くりはら研究所だよりPDF版のダウンロードのページ