• くりはら研究所だより第74号
  • 2013年4月1日(月曜日)発行

【活動レポート】くりはら観光塾「観光産業づくり講演会」

人の営みが奏でるこれからの観光産業

 1月26日(土曜日)/志波姫この花さくや姫プラザ

  「人の営みが奏でるこれからの観光産業」をテーマに、観光やツーリズムを中心とした観光地域づくりや、地域資源活用の視点を学んでいただくことを目的に開催し、116人が参加しました。

1. 基調講演
講師の丁野氏
  • 演題 「地域の総合力を活かす観光地域づくり」
  • 講師 社団法人日本観光振興協会常務理事・総合研究所長 丁野 朗 氏

 講師の丁野氏から、東日本大震災後の観光をめぐる状況や、観光産業に不可欠な「人の営み」と、市の観光振興の具体策を描くための知恵について、講演していただきました。

地域資源を俯瞰(ふかん)する

 「観光」とは、地域全体が豊かになるための「手段」であり、「装置」でもあります。
 昔は大盛況だった地域が衰退するのは、「装置」が古くなり、観光客の価値観と合わなくなるからです。だから、必ず新しい視点が必要になります。
 まず、地域資源を見る目は「鳥の目・蟻の目・魚の目」の3つがあります。
 「鳥の目」は、空から全体を見る目です。この地域が他地域とどう違うのか、地域の特色をしっかりつかむ目です。
 「蟻の目」は、小さな違いを的確に見極めることで、非常に大事なことです。
 そして、「魚の目」は、世の中の流れの変化を見る目です。世の中の変化を見ずに、何かを作ろうとしても、世間とのズレが生じてしまいます。
 今、観光は、寺社、仏閣、テーマパークではなく、特色のある商店街、田園風景などが注目されています。栗原市でいえば、商店街の街並み、「ほんにょ」のある田園風景、そして、近代化産業遺産といわれるものが大きな観光資源になり得ます。栗原の観光資源は多々ありますが、市民が魅力の共通項を持つことが必要で、それが「ブランド」になります。「栗原にはこんなにいいものがあるんだよ」という自慢につながり、「ブランド」が「プライド」になります。

新たなツーリズムの潮流と主張

 今、観光では「歩く」という行為が非常にブームです。
 代表的な事例は、「まち歩き博覧会〝長崎さるく〟」です。ここでポイントなのが、歩くと食べる、そして買うにつながり、栗原でも「栗原中食べ歩き」という発想もいいかもしれません。
 そして、栗駒山麓ジオパーク構想です。ジオサイトをどう展開していくか、地質や地形だけではなく、地域産業や文化を総合的に見せることが最大のポイントです。
 最後に、今、観光業界では、これまでの「発地型」旅行が観光客の価値と合わず、「着地型」旅行を作るようになっていますが、これだけではだめです。どんなに優れた商品でも「誰にとって、どんな価値があるのか」を知らないと売れないのです。観光客にとっての一番の価値、時間、それを形にして、「栗原モデル」を作っていかなければなりません。

2. 事例発表

4人の事例発表者の方々 観光産業に携わっている団体から、現在の取り組みと、今後の展望を発表していただきました。

「震災からの復興と栗駒山麓ジオパーク構想」
  • 発表者 市産業経済部田園観光課観光企画係長 浅沼 誠志

 栗駒山麓ジオパーク構想は、地すべりや崩落地などの地形・景観を防災教育や学術研究、観光などの場として、多目的に活用することを目指し、また、震災の経験と記憶を未来へ継承する遺産として、多くの人々や後世に伝えていく必要性を発表しました。

「栗原の観光資源の活用  着地型のツアーの事業に向けた取り組み」
  • 発表者 一般社団法人栗原市観光物産協会事務局長 高橋 義明 氏

 平成24年度、一般社団法人化や、第三種旅行業登録、観光案内などを行ってきたお話と、今後について、栗原の観光資源を活用した着地型ツアーの提案、隣接地域と連携した商品造成などを行うことを発表されました。

「観光・ツーリズムのチカラ 走りながら考え、また走る!」
  • 発表者 くりはらツーリズムネットワーク事務局長 高橋 幸代 氏

 昨年秋に開催した「くりはら博覧会〝らいん〟」の事業紹介と、参加者の感想から得たこととして、「昔ながらの丁寧なモノづくりは満足感や達成感だけではなく、本物の難しさを体験することで充実感にもつながる」ということを発表されました。

「花山のそばを核とした観光振興」
  • 発表者 宮城県北部地方振興事務所栗原地域事務所 企画員 伊藤 尚美 氏

 栗原市の新たな観光を目指すため、「そばと温泉」の資源がある花山地区の観光振興策について紹介がありました。まず、「花山元気プロジェクト」として、花山地区の地元住民が中心となり、「そばと温泉」などをPRしていくことと、平成24年度、「バスモニターツアー」や、「花山新そば祭り」を実施した結果、大好評だったことから、今後も継続して、栗原市の魅力を伝えていきたいと発表されました。

3. パネルディスカッション
  • 4人のパネリストの方々パネリスト
    • 宮城県経済商工観光部観光課長 田畑 規理子 氏
    • 一般社団法人栗原市観光物産協会常任理事 黒澤 征男 氏
    • くりはらツーリズムネットワーク副会長 千葉 静子 氏
    • 栗原市長 佐藤 勇

 講師の丁野氏がコーディネーターを務め、「栗原がめざす観光の姿とは」をテーマに、栗原地域全体が連携した「他の地域にはない栗原の観光産業づくり」を実現させるため、意見交換を行いました。
 その中で、田畑氏からは、「栗原は、技や学びの資源が豊富なので、教育旅行に力を入れると良い」ということ、また、黒澤氏からは「栗原は、四季折々の自然、食、文化を体験できるふるさとであるため、ふるさととユートピアを融合した『ふるとぴあ栗原』を目指す取り組みをしていきたい」、そして、千葉氏からは「観光は客をもてなすことも大事だが、客と同等な関係を築くことで、お互いの価値観を高め合い、リピーターの増加につながる」と貴重な意見をいただきました。
 最後に、佐藤市長は「観光は地域の総合力で勝負です。観光業の関係者だけではなく、市民総参加、地域の総合力で栗原ファンをしっかりつかんでいきましょう」と観光産業づくりに対する意気込みを参加者に伝えていました。

【活動レポート】第2回くりはら長屋門セミナー

長屋門が建てられた時代の背景と人々のその暮らし

 3月4日(月曜日)/志波姫この花さくや姫プラザ

講師の笠原氏 今回の講義は、市内の長屋門が多く建てられた時代の背景と、衣・食・住などの視点から当時の人々の暮らしについて学んでいただくことを目的に開催し、23人が参加しました。

  • 講師 東北歴史博物館  企画部長 笠原 信男 氏

 講師の笠原氏から、長屋門が建てられはじめた江戸時代の背景に触れ、当時の農村には住宅や門を建てるために厳しい規制があったことが話されました。また、明治時代における農業経営や米作り、屋敷内での生活、年中行事など、当時の人々の暮らしの様子を説明していただきました。

長屋門が伝える人々の暮らし

熱心に説明を聞く参加者 現在の農村に見られる長屋門は、一部の認められた者だけが建てることを許された、厳しい建築規制があった江戸時代の建物は少なく、大部分は明治以降の規制がなくなったところで見栄えと、作業場や使用人の住居となる実用性を兼ねて建てられたものが多くあります。
 そして、江戸時代から明治時代の農業社会の変革により、大規模な地主が増え、昭和初期における宮城県の大地主の戸数は全国第3位と飛躍的に増加しました。
 昭和3年の調査資料では、市内で5町歩以上の耕地を所有する地主数は志波姫、栗駒、築館、一迫の順に多く、現在残っている長屋門の数とも関係していると考えられます。
 今もなお、数多く残る長屋門は、地域の繁栄を物語り、人々の暮らしの様子を伝える貴重な財産です。
 参加者からは、「現在も農具が残っている」、「昔、同じような作業をやった」など、昔を懐かしむ声が上げられました。

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