受賞作品を、原文のまま掲載します。題名・本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※敬称略

原文はこちら

秋〔あぎ〕さなったら想〔おめ〕え出す
ハッタギ獲りのあの夢ば
朝がらハッタギ
おむすびしょってハッタギ獲〔と〕って
学校〔がっこ〕で計量〔はが〕る二日〔ふづか〕も前〔めえ〕がら
母ちゃんも一緒にハッタギ追〔ぼ〕い
毎年〔めいとし〕計量〔はが〕り足〔た〕んねくて
お昼の菓子〔す〕パン恥ずかすい
ヘビ出る カマキリたげられる
楽〔たの〕すい楽〔たの〕すい ハッタギ獲り
イナゴの顔がアップで迫る
秋に見るのはハッタギの夢
おんさぁん議会でとっつかまって
姑〔しゅうど〕と一緒にハッタギ追〔ぼ〕って
暗い気持ちで溝伝い
それで夢どは縁切れた
今年〔どし〕は一人でハッタギ追〔ぼ〕って
足ばもいだら佃田煮だ
やっとごハッタギ食〔け〕えるよになって
一息〔いぎ〕ついだら
もう五十路
半分過ぎで見る秋は
少しは明〔あが〕るぐなったべが
母ちゃん死んでいねえがら
独人〔ひとり〕で追〔ぼ〕う他無〔ね〕えもんや
オンブバッタを握まえて
笑った友達もういねえ
秋満開〔けえ〕で獲るイナゴ
お陽様照って翔〔は〕ねる度〔たび〕
一生懸命〔いっしょけんめい〕追〔ぼ〕ったのが
偉〔えれ〕え昔〔むがす〕に想〔おめ〕えるど
淋しい気持〔きもつ〕になっけっど
一度〔ぺん〕免状欲すがった
ハッタギ追〔ぼ〕ってもらえたら
代々語り伝えだとやっぱり今でも思うがら
明るい秋も通ったし寂しい秋も過ぎたがら
ハッタギ追〔ぼ〕って笑うべが
羽もぎ足とり佃田煮だ
美味〔うめ〕え秋〔あぎ〕にはしねえどな