受賞作品を、原文のまま掲載します。また、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※敬称略

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父は金宮丸の船長兼船頭だ
仙台湾が仕事場だ
春になると、メロウド漁が始まる
父がメロウド漁をはじめて13年
海の色、雲の動きと風向き
うみねこのにぎわい
オットセイの群れを見逃さない
これらが、メロウドの大群の目印だ
他のどの船よりも速く
15メートルほどのアゾに網を張り
ウィンチを使って海に突き刺す
そして、すばやくアゾを船に戻す
この一しゅんのタイミング
早すぎてもいけない
遅すぎてもいけない
これこそが大漁になるための分かれ目だ
うまくいれば
4トンや5トンもの水揚げも可能だ
しかし、いつでも成功するわけではない
トロール船に根こそぎ取られるので
水揚げ量も減ってきている
10メートルを超えるシャチやクジラに
出会うことも少なくない
荒波の中での漁もしょっちゅうだ
家族の生活を支えるために
きびしい自然と戦いながら
海の恵みを求め続ける父
ぼくはそんな父が大好きだ
だからこそ
ぼくは父の跡を継ぎたいと思う