「白鳥省吾賞」のはたらき/川野 圭子(第11回白鳥省吾賞 一般の部 最優秀賞受賞者)

 雪のちらつく栗原市への旅から、早くも一年になろうとしています。広い田園の中を走る真っ直ぐな道、その先の栗駒山、伊豆沼、空を行く雁、白鳥などが、目を閉じれば澄み渡った清冽な空気と共に蘇ってきます。
 昭和20年の敗戦から5年に及ぶ、カザフスタン抑留を経験した叔父のことを書いた詩「セルジャント・ナムーラ」の受賞が、インターネットや詩誌を通じて発表されました。それを読んだ各方面から、多くの反響が寄せられて、私自身驚いています。
 20代の青年味方俊介氏からは『カザフスタンにおける日本人抑留者』(東洋書店)が届けられました。カザフスタン留学で日本人抑留者のことを知り、少しでも記録に残して置かなければと、調査研究の上平成20年に出版された著書です。「カザフスタンの地で、日本人という民族が、抑留者の功績のためにどれだけ敬意を払われているか、身を持って感じてきた。今だにどれだけ尊敬され感謝されているのかを少しでも伝えたい。元抑留者の方々、遺族の方々、戦争を知らない現代の若い人々に、少しでもそのことを伝えていくことが、カザフスタンの地に倒れていった日本人抑留者に対する私なりの鎮魂と考えている」という意味の手紙が添えられていました。私はこの本を読んで、知らなかったこと、目を向けていなかったことを沢山知らされました。叔父の抑留を知りながら詳しく知ろうともしなかった自分を恥じています。
 詩誌への反響は「カザフスタン抑留のことは知らなかった。ウラン鉱試掘とは初めて聞いた。戦争の悲劇は末代まで続くもの、二度と起こしてはならない」等とありました。
 人類愛・自然愛を標榜する「白鳥省吾賞」の大きなはたらきを実感しています。若者からの反響を特に喜びました。この賞を運営される多くの方々のご努力を想い、今後とも益々発展されることを祈っています。