受賞作品を、原文のまま掲載します。本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※敬称略

原文はこちら

水原のじいちゃんはもうすぐ七十才だけど、
すごく元気者
畑で野菜を作ったり、シャベルで雪かきした
り、夜はいっぱいお酒を飲んだり
ある日、ぼくはじいちゃんのひみつを知って
しまった
水原へとまりに行った夜、台所でじいちゃん
とばあちゃんが話をしているのを聞いてしま
ったんだ
「・・・がんが進んでいるみてえだな」
「年〔とし〕なんだすけ、しょうがねえこてさ」
ぼくは大ショック じいちゃんが、がんだな
んて ぼくはふとんの中で泣いた
つぎの日、家へ帰ると、心をこめて、おいの
りをした
「じいちゃんのがんが、治りますように」

また、じいちゃんの家へ行った
ぼくはおどろいた
じいちゃんがメガネをかけていたからだ
「ついに、ろうがんになってしもたわや」
てれくさそうに、じいちゃんが言った
「年〔とし〕なんだすけ、しょうがねえこてさ」
笑いながら、ばあちゃんがこの前と同じこと
を言った
「ろうがんて、がんじゃないの?」
とぼくが聞くと、二人は大笑いした
「がんなんかじゃねえさ。あっはっはっは」
あー、よかった ほっとして、ぼくは泣いた
その夜、ぼくは二人のふとんの間にねた
「としのやつ、心配してたんかなあ」
「そういんろ、いい子だすけねえ」
「なんせ、おれ達の孫だすけな」
ぼくの耳に二人の声が聞こえた
ぼくは、うれしくなって、二人の手をかたほ
うずつ、ぎゅうっとにぎった
「おや、起きてたんか」
「はよ、ねなせ」
二人はそう言うと、ぼくの手をにぎり返した
ああ、二人の孫で本当によかったなあ