受賞作品を、原文のまま掲載します。また、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※敬称略

原文はこちら

「おおい、康介~。
 上がって来~い。」
休みの日、志波姫に行くと、
おじいちゃんの声がする。
(どこ?どこ?)
ぼくはきょろきょろ見たが、
おじいちゃんのすがたがない。
「こっちだ、こっちだ。」
頭の上から声がする。
見上げてみると、屋根の上だ。
そうか、このはしごでのぼったのか。
銀色のはしごが屋根までのびている。
「ようし。」
一だん、一だん足をかけてのぼってみると、
一だん、一だんぼくの体が高くなる。
ペンキのにおいがはなにつんとくる。
「よいしょっと。」
屋根まで上がると
わあい、高~い。
空が近くなった。
あはは。下の方では、
犬のムックがびっくり顔で見上げてる。
そばを流れる川がきらきら光っている。
田んぼの緑は
どこまでもどこまでも続いている。
ぽつん、ぽつんと、ところどころに
こい緑色の森が見える。
そして、遠くには山だ。
栗こま山だ。
一年の時までいた山形には、
鳥海山がどかんとすわっていたが、
栗こま山もいいなあ。
「おおい。こうすけや~い。」と
りょううでを大きく広げてるみたいだ。
母ちゃんが生まれたここもいいなあ。

ああ、風が顔に当たって
気持ちいい。