受賞作品を、原文のまま掲載します。また、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※敬称略

原文はこちら

車を降りる
降りた瞬間
なつかしい稲の香りが
秋の風にのって
私の所へやってくる

今年もまたやって来た
今日は稲刈りをする日
すっかり秋の色になった稲たちを
私はかかえながら
ふっと耳を傾ける
子供が走り去るかのように
音をたてて揺れる稲穂の音
「ゴゴッ」「ゴゴッ」と
騒がしい音を出して動く機械の音
あぁ今年もまたやって来た

祖父は笑ってこう言う
「今年は重いな」
たしかに重い
私も持つだけで一苦労
祖父にとっては
うれしい重さ

作業が一段落ついて
休憩する
鮮度が落ちて黄ばんだ林檎も
すごくおいしく感じる

作業が終わると
すっかり服は土と稲まみれ
私の足は笑っている
祖父もいっしょに笑っている