受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

菊のごとく、生きてゆけ

そうだ、菊のごとく生きるのだ。

菊のごとく、生きてゆけ

そうさ、菊のごとく生きるんだ。

春に苗を植え、元気に育てよと声をかけ、

夏に摘心をし、暑さにまけるなよと激まし、

秋に剪定をし、枯れるなよと見守ってやり、

そして冬には、誠に見事な花を咲かせる。

それは、小菊かもしれない。

それは、大菊かもしれない。

ひょっとしたら、こっそり紛れ込んだ蓬かも

しれない。

大輪を咲かせることができなくても、それで

いい。菊のごとく、生きるのだ。

着るものがなくても、それでいい。菊のごと

く、高潔であれ。

裕福になれなくても、それでいい。菊のごと

く、誠実であれ。

恋が破れたとしても、それでいい。菊のごと

く、健気であれ。

黙って、菊を見ようじゃないか。

黙って見ていれば、真の姿が見えてくるのだ。

黙って見ていれば、真の強さが見えてくるの

だ。

黙って見ていれば、そこには、わずかな愛と、

長寿と、幸福があるのだ。

だから、どうか、

菊のごとく、生きてゆけ。

誰かの許しを請う前に、

菊のごとく、生きるのだ。