受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

へやであそんでいると

家が大きくゆれた

えんがわにいたお母さんが

大きなこえでぼくをよんだ

ぼくはぜんそく力ではしっていって

お母さんにしがみついた

にわのへいがくずれ

やねからかわらがおち

かべはひびわれた

 

あのとき

ぼくは二才と二か月

五年半がたって

ぼくは小学二年生になっている

あのとき

一ばん大へんだったことって何?

そう聞いたら

お父さんもお母さんもお姉ちゃんも

同じこたえだった

――「かぞくのこと」

みんなべつべつのところにいて

れんらくがとれなくて

ものすごく心ぱいしたんだって

ぼくは何もおぼえていない

水どうの水が出なくて

みんなでバケツをいくつももって

いど水をもらいに行ったことも

電気がとまって

ろうそくの火でよるをすごしたことも

ガソリンがなくなって

車がうごかせなくなったことも・・・

 

ただお母さんが

つよくだきしめていてくれたことと

お母さんの心ぞうの音だけは

今でもはっきりおぼえている

それがぼくの

さいしょのきおく