受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

秋から冬へ

ゆるやかに星座を回して季は移る

夜毎、漆黒の闇に

銀河は仄白い光を放って懸かり

耳を澄ますとそこには

幽かな羽ばたきの音が響いている

あれは銀河のなかを

北へ飛び去って行った

キグヌス(白鳥座)の羽音なのだろうか

 

死者は皆、ふりそそぐ磁気に導かれて

魂の磁場へ還る

私が聞く幽かな羽音は

列をなして天空を飛ぶ

見覚えのある死者たち

魂のなかに組み込まれる

北への回路を

ひたすら飛んでゆく

死者たちの透明な飛翔を

私は幽かな羽音をたよりに

眼を凝らして仰ぎ見る

 

その時、私はふと

私のゲノムの記憶が共鳴するのを感じる

はるかな時間軸を遡ってゆく北の回路は

縄文の思想に帰着する

そこに搾取と収奪はない

そこに益権をめぐる争いも

征服のために人を殺すという論理もない

 

人もまた自然のなかの

あらゆる生命体の一環に過ぎない

北の思想の磁場には

それがいまも、コアとして存在する

私が聞く幽かな響きは

そこへ還れという銀河系の意思

私はそれを

未来への啓示として聞く