受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

「あなたの母で良かった。」
ふとした瞬間投げられたふわふわのボール
どうキャッチすべきか分からず
とうとう捕り損ねてしまった
ボールが返ってこなくても
あなたは笑っていた

「あなたの母で良かった。」
今度は妹に投げられたふわふわのボール
妹はちゃんと受けとめて
ふわふわの満面の笑みを投げ返した
ふわふわのボールが返ってきた時
あなたはゆっくりと頷いた

「あなた達の母で良かった。」
何度目かのふわふわのボール
次こそはキャッチしようと決意したのに
また捕り損ねてしまった
妹はキャッチできたのかと隣を見ると
慣れてしまったのだろうか
無表情で頷いただけだった
軽くて、冷たいボールが返ってきた時でも
あなたは 笑っていた

母とはそういうものなのか
決して帰ってくる保障も無いのに
何度でもふわふわのボールを投げかける
底尽きることのないその愛のボール
一人で投げていてはきっと疲れるし
寂しいから
今度は絶対 捕ってやる 

「あなたの母で良かった。」
ふとした瞬間投げられたふわふわのボール
慎重にキャッチしたそのボールは
思ったより重くて温かかった
今度は私が投げる番
「あなたの子で本当に良かった。」