受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

孫娘は六歳 まだ地球に生まれて六年
両手で数えることができる時間
何歳かと尋ねられたら
小さな指でしっかりと指し示すことができる
私の母は九十四歳
生まれてからもうすぐ百年
人の寿命は百二十歳くらいらしい
どんなに頑張っても二百年は生きられない
それでも百年がどれくらいか
母の顔の皺や曲がった背で
想像することができる 

川棚温泉のクスノキは樹齢千年
一本で森のように見える大樹だ
その木の下に立つと
鬱蒼と茂る枝に千年を感じることができる 

屋久島の縄文杉は樹齢七千年
もう手が届かない
うなだれて祈るしかない年数

人間の祖先
ホモサピエンスがこの地球上に
二本足で歩き始めて十万年経つ
それはぼうぼうとした捉えどころのない時間
耳を澄ませても届かない距離
あるのかないのか
不確かな海のような時間

十万年かけてとつとつと繋いできたいのち
そのいのちと同じ時間が
高レベルの核廃棄物が安全になるまでの時間
だという
十万年
ノートに何回か書いているうち
小さな羽虫になっていく私の時間