受賞作品を、原文のまま掲載します。
 本文に読みがなを〔 〕書きで添え、編集の都合上、すべて横書きにしています。
 ※ 敬称略

原文はこちら

瞳のふちまでいっぱいに満たし
意思を無くしてこぼれ落ちる
透明なつぶ
それらと共に外の世界へと
飛び出しそうになる言葉を
内に閉じ込めるのに
私は
苦戦する 

獰猛な生き物のような言葉たちが
のどの奥にかみついた
痛みと共に広がる
薄くささるような赤い味
それでも
私は
なんとか自分の内に閉じ込める
なぜなら
ずくんという痛みの中に
気が付いたことがあったから

人は誰しも言葉という凶器を持っている
私には
それがとても粗くて温くて
心の破片のように感じるのだ
それはたぶん
私が
刺さった痛みに苦しむとき
相手は
欠けた痛みに苦しんでいるような気がするから 

それに気が付いた私は
これからもその凶器を持ち続けることにした
凶器の重さを
相手と私の関係を
見失うことのないようにしながら