受賞作品を、原文のまま掲載します。
 また、編集の都合上、すべて横書きにしています。
※ 敬称略

原文はこちら

蝉が嫌いだ。
毎年毎年
夏になると思う。
なんであんなに飛ぶのが速いんだ。
顔に向かってきたときは、
はたき落としてやろうかと思った。
まにあわなかったけど。
なんで羽化するんだ。
地中ですませてくればいいだろう。
おかげで弟が大量にぬけがらをとってきた。
手の上でつぶしてやろうかと思った。
きもちわるいからやらなかったけど。
なんであんなに騒がしいんだ。
ただでさえうるさいのに
あみ戸にとまってなくな。こっちくんな。
長年地中にいるんだから
地中で思いっ切りないて
地上では静かにすごせばいいのに。

ふと思った。
蝉の命は地上に出てきて一週間で終わる。
私もああなるのだろうか。
死ぬ間際になったら、
まわりにみんみん当たりちらすかもしれない。
そう考えると蝉の気持ちが分からんでもない。
でも、最後に後悔なんてしたくない。
そうならないよう
今をせいいっぱい楽しみたいと思う。
もしかしたら蝉も
最後の七日間を
思いっ切り楽しんでいるのかもしれない。
まぁ、好きにはなれないけど。